第5章 契約
第95話 オメガの扉
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「俺の足りない……。経験の浅い脳ミソでは難しい事は判らない。せやけど、それ……俺の行動の結果や思考が何モノかの思惑により作り出された物だろうが、それ以外の何だろうが関係ない。
俺は今まで通り、自分で判断して、自分のやりたいようにやって行くだけ」
正直、気分的に言えば、それがどうした。……と言う気分。
神の思惑だろうが、ヴィルヘルムの思惑だろうがそんな事は知った事じゃない。
もう一度言う。それがどうした……だ。
確かに、もし、タバサが前世の記憶を有して居る理由が俺の業に起因する物ならば、彼女に対しては多少の責任と言う物が発生すると思います。
が、しかし――
それでも、それ……。前世からの因縁を受け入れたのは彼女だって同じ。転生の際にすべてをリセットする。……俺などに関わらない転生を望む事だって可能だったはずなのに、彼女はその人生を歩む事を拒み、俺と共に在る人生を望んだのですから、彼女だって共犯者と言う間柄。
ふたりの間には、どちらかが一方的に負わなければならない責任など存在しない。
「まして、オマエやって似たようなモンやないのか、ヴィルヘルム。オマエやって、何処に繋がって居るのか判らへん糸に操られた操り人形やろうが」
そう、返す刀で斬り返す俺。
いや、この目の前の東洋風イケメンは、俺なんかと比べものにならないぐらい酷い……危険なヤツに繋がっている可能性が高い。
そもそも、コイツ。この目の前のゲルマニア皇太子ヴィルヘルムはヤツの一顕現に過ぎない存在。コイツがすべての黒幕で有りながら、末端の。……何時でも切り捨てられる存在でも有るはずですから。
ヤツ――這い寄る混沌に取って、人間として転生した肉体などはその程度の扱い。
それに、ヴィルヘルムが言う、俺を手の平の上で踊らせている神と言うのはヘブライの神と北欧神話に繋がるアース神族の事でしょう。
故に、それぞれの思惑の元、俺に能力を与えるような加護を与えながら、最終的には死が待って居るオーディンの神話やナザレのイエスに繋がる聖痕を付けて行って居る。
この混乱を鎮め、世界に滅びの兆候をもたらせている存在の排除が終れば俺のような人間は用済み。その際に後腐れなく俺を消す為に、最期に死する……と言う英雄たちの伝説を追体験させているのでしょうから。
その未来を指して、手の平の上で踊らせられている、と表現するのなら、それはおそらく事実でも有ると思います。
俺の言葉に少し苦笑のような表情を浮かべ、肩をすくめて見せるヴィルヘルム。この瞬間、それまで周囲を閉ざして居た邪気が薄れ、白い結晶と冷たい風が支配する世界が完全に戻って来た。
そして、
「やれやれ、忘れていましたよ。貴方が、世界中すべて
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