SAO編
たとえばこれが少年漫画なら
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トーカーじゃん……」
ぼそりとした呟きはしっかり聞こえていたようで、その三白眼が剣呑な光を灯して俺へ向けられる。普段はそこまで好戦的ではない俺だが、自分でも気づかないうちに大分気が立っていたのかもしれない。俺は無意識のうちに、そうそう浮かべない嘲笑をすると「地獄耳」と鼻で笑っていた。
「このっ……調子に乗るなよ……殺人者が」
吐き捨てるようなクラディールのその言葉に、ピクリと肩が震えた。消えることのない過去の記憶が脳裏を掠めて、心臓を早くする。俺は意識的にそれらを見ないように瞼を閉じて、下がりそうになる口角を上げた。
「…………へぇ?調べたのか、俺のこと」
「気狂いの殺人者、血染めのポート」
「有名になったもんだな、俺も」
「貴様のような人間がっ!アスナ様の隣に相応しいはずがない!!」
飄々とした態度を崩さなかった俺が気にくわなかったのか、そう言って俺を睨み付けたクラディールはアスナへと視線を映してわなわなと唇を震わせる。そして眉を吊り上げてつかつかと近づくと無理やりキリトを退けて、力任せに彼女の腕をつかんだ。アスナの細い肩が恐怖に震える。
「アスナ様もいい加減、聞き分けのないことを仰らないでください。さあ、本部に戻りますよ」
「嫌!」
ぐいっと力任せに連れ去られそうになるアスナが抵抗する。それにクラディールがあからさまに苛立ちを募らせたのが分かったが、俺はその場所から動く気は無かった。
「悪いな、お前さんのトコの副団長は、今日は俺の貸切りなんだ」
なぜならヒロインを助けるのはヒーローの仕事だと、相場が決まっているからだ。
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