SAO編
たとえばこれが少年漫画なら
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ートルほどありそうな場所に現れると、転移門のすぐそばで突っ立っていたキリトを巻き込んで地面に転がった。悲鳴をあげながら二人してぐるぐると転がっていく。取り残された俺はぽかーんだ。
「えーっと……」
「や、や――――――っ!」
俺がどうしたもんかと思案しているうちに、アスナはばっとキリトから距離を置くとぺたんと床に座り込んだ。耳まで真っ赤にした彼女は、なにやら殺気のこもった目でキリトを睨み付けている。
何が起こっているのか理解しかねた俺だったが、彼女の両手が胸の前でかたく交差されていることに気づいて、ぴこんと回路がつながった。頭の上に電球が灯る。
「ああ!ラッキースケ――――」
ひゅん、と一筋の流星が尾を引いた。
小さな小石が俺の耳元を掠めていく音に、思わず言葉を止める。おそらくは昨日俺がラグーラビットを仕留めるときに使ったものと同じ、投剣スキルの《シングルシュート》だろう。アスナの圧倒的敏捷値に後押しされたそれは、肉眼でとらえるのは難しい。街内であるためHPが削られる心配はないとは分かっていても、俺はひくりと頬を引きつらせた。
「ポート君……?」
「何でもないです」
やっばい……また余計なこと言っちった。
しらっと俺は視線を彼女から逸らした。じとっとした視線を首筋に感じながらも頑なに転移門を眺め続けていると、そこが少しずつ輝きはじめる。俺の視線を辿ったアスナはすぐにそれに気づくと、息をのんで立ち上がったキリトの背に隠れた。
「なん……?」
キリトの疑問の声をよそに、転移門が一際眩い光を放つ。転移が完了し、少しずつ光がおさまるとそこに立っていたのはつい昨日、アスナに異常な執着心を見せていた男。クラディールその人だった。
クラディールは血走った瞳であたりを見回し、キリトの後ろに隠れるアスナを見つけるとヒステリックな怒鳴り声をあげた。三白眼の上の眉を盛大に顰めて、アスナの前に立ちはだかるキリトに構わず彼女へと迫っていった。
「ア……アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」
「おい」
「さあ、アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう」
「嫌よ!今日は活動日じゃないわよ!……だいたい、アンタなんで朝から家の前に張り込んでるのよ!?」
興奮冷めやらぬ様子でアスナが怒鳴り返す。その彼女に追い打ちをかけるようにクラディールは得意げに鼻を鳴らして言い放った。
「ふふ……こんなこともあろうかと、このクラディール一か月ほど前から早朝より監視の任務に就いておりました」
ひくり、アスナの頬が引き攣ったのは俺の見間違いでは無いだろう。現に二人の間に立つキリトも、ぽかんとした間抜け面をさらしている。まあ、それはかく言う俺も決して例外ではない訳で。
「ス
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