クズノハ提督再会
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するにお前は、何も悪くない」
「え?」
「まぁ、任せてくれ。……人間の都合でお前ら姉妹を再び引き裂くのは間違ってるからな」
「いや、でも!」
「いいか? 今お前が雷と電を守りたい様に、俺もお前ら三人を守りたいんだよ」
最近会ったばかりだけどな、と葛葉は笑いながら頭を撫でた。
響は自分の言葉を聞いても尚、自分を守ると言った男を前にただ呆然と立ち尽くしていた。
「それで、誰に追われてたんだ?」
「あ、それは……」
「説明する必要は無いよ」
突如、玄関より男の声が響いた。
「誰だ!? せめてチャイムくらい鳴らしてから入れ!」
「そういう問題じゃないと思うな……」
葛葉の素っ頓狂な抗議を無視し、男は数人の武装した男達を率いて鎮守府内へと侵入した。
「やぁ、だいたい一週間ぶりだね葛葉君。覚えてくれてるかな?」
涼しげな印象を受けるスーツ姿の男は、爽やかそうな笑みを浮かべて葛葉に一言挨拶を述べた。
「え、えーと……確か大本営の倉岡さん!」
葛葉は必死になって思い出し、男の名を叫んだ。
「何故そんなに必死な顔をしたのかは置いておいて、覚えててくれて何よりだよ」
倉岡は葛葉達の元まで残り数メートルの所まで来ると、響を指差した。
「彼女を引き渡してはもらえないか?」
「……!!」
葛葉は全身から汗が噴き出るような感覚に陥った。見た目の爽やかさに反した有無を言わせぬ鋭い眼光で貫かれ、葛葉は一瞬声を出すことができなかった。
「こいつが、響が大本営に何かしたんですか?」
やっとの思いで絞り出した声で、倉岡に問う。何故大本営は彼女を執拗に追い回し続けているのかを。
「……君は軍艦についてもっと勉強した方が良いと思うよ。お節介かもしれないが」
倉岡は若干困った顔をしながらも丁寧に答えた。
「彼女、暁型駆逐艦二番艦の響は終戦後にソ連へと賠償艦として引き渡されたんだ」
葛葉の脳裏に芝田と安藤の言葉が浮かんだ。そして、彼の頭の中で様々な物が繋がる音がした。
「その名前ってもしかして……」
「多分、ご明察」
そして二人は同時に口を開いた。
「「Верный(ヴェールヌイ)」」
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