クズノハ提督再会
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はわざとやっているのか?」
「多分司令官気付いてないと思うわ」
「司令官さんは……ちょっと天然というか鈍感というか……って所があるのです」
「おいおい電ー。俺は天然なんかじゃないぞ? 五感も鋭い方だ……多分」
少女三人は顔を見合わせて、呆れたように苦笑いを浮かべた。
鍋も空き、食後の一服も終えた頃。
響は姿勢を正し、正面に立つ三人に向き直った。
「実は今、ある人間達に追われているんだ。それは……」
そこで響は何かに気付いた様に目を見開き、閉口した。
「……やっぱり誰かは話せない。ただ、君達は……関わらない方がいいのかもしれない」
響はソファーより立ち上がり、帽子を手に取って葛葉を見上げて言葉を続けた。
「やっぱり君達まで巻き込むわけにはいかない……。色々ありがとう……二人とも、ごめんね」
そう言い放ち、響は玄関へと歩き出した。
しかし、葛葉はすかさず響の手を掴み引き止めた。
「離してくれ」
「離せるわけがないだろ……」
葛葉は困り半分、呆れ半分といった表情で彼から離れゆく腕を引き寄せた。
「またボロボロの姿で倒れるつもりか? 今回はその追手に見つからなかったから良かったものの……次こそは捕まるかもしれないんだぞ?」
響は葛葉に背を向けたまま沈黙を保った。その表情は帽子に隠れており見えない。
「遠慮するなって言っただろ? 巻き込むとか巻き込まないとか……要らん気を使ってくれるな。だろう? 二人とも」
「あったり前じゃない!」
「なのです!」
三人の笑顔を見て、響は弱々しく言葉を返した。
「でも……私を匿えば君達も同罪になるんだよ?」
「ほう。その罪ってどんな罪なんだ? 言ってご覧」
葛葉は口の端を吊り上げながら、響へ問いかけた。その笑みはまるで起こり得る困難を楽しむかの様な不気味さを孕んでいた。
「どんな罪って……それは」
響はそこで言葉を詰まらせ、一人考え始めた。
「それは……」
ほんの数十秒程であったが、響の戸惑うその姿に葛葉達は少なからず疑問を覚えた。
「響……?」
「わからないのか?」
「わ、私は……ただ皆を、三人を守りたかったから……今度こそはずっと一緒にいようと思ったから……」
響が小声で呟き始めた。只事では無いといった彼女の様子に、葛葉達は静かに見守ることにした。
「何で人間の姿になったのかもわからない……。この姿になった途端、皆を失ったと思い出す度に胸が苦しくなったんだ……。こんな思いはもうしたくない。だから、皆の元へ行って、皆を守ろうと思っただけなのに……」
気がつくと響は小さく震えていた。それが彼女の怒りによるものなのか、恐怖によるものなのかは分からない。ただ葛葉は、いつの間にか右手を頭に置いていた。
「よくわかった。要
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