クズノハ提督再会
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少女であった。
ひとまず葛葉は銀色の髪の少女を室内へ運び込み、リビングのソファーに横たわらせた後、雷と電を呼び出した。
「響……」
「間違いなく響お姉ちゃんなのです」
目の前の少女の満身創痍な姿に、この時ばかりは二人とも数十年ぶりの姉妹の再会を喜べなかった。
「……お前達には色々聞きたいことや話したいことがあるかもしれないが今は後にしよう。まずはこの子の回復を待つ」
葛葉は泥まみれで倒れていた少女の顔を濡れたタオルで拭き、土埃を拭き取った。
「どうしてこんなことに……」
電は響を見つめながら、その姿を嘆いた。
「ぅ……う……ん」
「気がついたか!?」
少女の青い瞳が開いた。目が覚めると、少女は辺りを見渡し口を開いた。
「ここは……?」
「俺の鎮守府のリビングだ。どこか痛むところとかは無いか? 腹は減ってないか?」
葛葉は心配そうな表情で、まだ状況を掴み切れていない少女に問いかけた。
「うん……大丈夫。痛むところは特に無い。お腹は……少し減ってるかな」
「じゃあ、お粥でも作ってくる。二人とも、暫く話でもしててくれ」
そう言うなり葛葉は柔らかな笑みを浮かべつつ食堂の厨房へと向かって行った。
「……え、えーと」
「……ひ、久しぶりね響! 70年ぶりくらいかしら?」
「本当に雷と電、なんだね……。良かった……また会えた」
雷と電は二人顔を見合わせた後、目の前の少女に笑顔で抱き付いた。
「ひびきーー!」
「会いたかったのですー!」
「私も会いたかったよ、二人とも」
銀髪の駆逐艦少女、響は二人を抱きしめ、今度こそは守ってみせると小声で呟いた。その目には僅かに涙が光っていた。
「出来たぞーたまご粥。アレルギーとかって……無いよな」
葛葉が鍋を持ってリビングにやってくると、そこには仲良く抱き合い談笑する三人がいた。
「あ、わざわざありがとう。いい匂いだね」
「おかわりもあるぞ。遠慮せずにどんどん食べてくれ」
「司令かーん! 私たちの分は?」
「お前達は朝飯食っただろうに……」
葛葉は、たまご粥をレンゲで一口分すくって響に差し出した。
「え、えーと」
「どうした? 遠慮することはないぞ?」
「いや、そういうことじゃ……」
響はレンゲを見つめながら仄かに顔を赤らめ、頬を人差し指で掻きながら目を背けた。
「あ、もしかして熱いの苦手か? それなら冷ましてーー」
「だ、大丈夫だよ。問題ない」
響は赤くなった顔をより一層赤らめて、葛葉の持つレンゲに食いついた。
「お、いい食いつきだ。どんどん食べてくれ」
葛葉は満足そうに笑うと、響の口からレンゲを抜き取り、再び粥をすくって差し出した。
「もぐもぐ……二人とも、彼
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