第三章
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第三章
「毎朝。しかも」
「しかも!?」
「下校の時にもね。まずはそれからよ」
「それからってあんた」
見れば書かれているのはその保志に関するものだけではなかった。自分のことまで細かく書かれていた。まさに敵を知り己を知らばというやつであった。
ここまで調べているとは思わなかった。波江は内心かなり引いていた。そしてそれは顔にまで出ていたがもうそれを隠すこともできなくなってしまっていた。
「何とまあ」
「それでね」
引いたままの彼女を他所に知美の話は続く。
「登校の時はこの時間の急行に乗って。帰りは」
「帰りは?」
「この電車」
ノートに書かれた時刻表のチェックポイントを指差して述べた。
「ちょっとネットの時刻表も使って調べたのよ。簡単にわかったわ」
「そう、簡単にね」
幾ら簡単でもわざわざそれを調べるその根気が怖かった。殆どストーカーではないのかとも思っていたがそれも口には出せなかった。
「乗っている車両はね」
「それも調べたの?」
「ええ。樫葉駅だけれどね」
「樫葉駅って」
ここでまた波江は恐ろしいことを知るのであった。それは。
「あんた、ひょっとしてそこまで」
「少し行って来たわ。ついでに樫葉高校まで」
「・・・・・・そう」
現地調査までしたということであった。完全にストーカーであった。
「それで階段からすぐに降りたところの車両が五番目なのよ。だから多分保志君は五番目のところにいるわ。帰りはね」
「帰りは、なのね」
「そう。それで行きは」
「そっちも調べたのね」
「そうなの」
何でもないといったような声であった。本人にとってはそうなのであろうが波江から見ればそうではない。引きまくってもう言葉すらない有様であった。
「それはまた」
「それでね。これからはこの車両に乗って。扉は」
こんな調子で実に細かいところまで知美の調査は進んでいた。まずは電車で一緒になりそれからも調べものは続くのであった。今度は。
「彼の好みがわかったのよ」
今度は教室でお弁当を食べながらの話の中で言うのだった。二人で向かい合って食べている。その中で知美は波江に話す。
「好みって?」
「ちょっとね、彼の話を聞いていて」
「電車でなのね」
「そうなの。アイドルだとこんな感じで」
評判のグループでもう卒業したメンバーの一人だ。一番人気で有名だった娘だ。
「ファッションがこんなで」
「ふんふん」
何か今時の女の子の格好だった。またノートにびっしりと書いてある。もう見たので流石に今度は驚きも引きもしなかった。壮絶だとは思うが。
「好きな食べ物はおうどんでお菓子はチョコレート」
「チョコレートなのね」
「そうなの。話しているの聞いたのよ」
にこにこと笑って答える。
「あ
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