全国10カ所の妖気
東方変形葉48話「幻想の月」
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「むにゅ〜。」
姫雪が寝ぼけて俺の体を強引に引っ張り、強く抱きついて再び寝始めた。幼いとはいえ、この子も妖怪。力は普通の人間よりも若干強い。・・・これじゃあミイラ取りのミイラじゃんか。
しかし、無理に脱出しようとすると、なぜかどんどん力が強くなっていく。俺は道連れになる運命なのか。そしてその運命に従うようにして次第に眠気が襲い、瞼を閉じてしまった。
「くあぁぁ、結局寝ちゃった。今何時かな?・・・えっ?8時?」
あ〜、まあいいか。それよりも早く起こさないと。
「姫雪〜、起きろ〜。」
「むにゅむにゅ〜・・・」
変な寝言しか返ってこない。よし、ちょっとだけ。
「むにゅ〜・・・にゅわっ!?」
横腹をつっついた。結構効いたようで、飛び上がって反応した。
「おはよう、姫雪。ご飯つくってあげるからちょっと待っててね。」
「う、うん。」
台所に向かい、さっと料理をした。
「ちょっと紅魔館に行ってくるかな。」
「え?どうして?今、夜だよ?」
「この前レミリアにさ、『たまには私と酒を飲みなさい。夜にね。』って言われたんだよね。あれから一度も行ってないからさすがにレミリアが怒るだろうからねえ。」
酒って言ってもきっとグラス一杯を飲みだけだろうし。今日は昼寝をがっつりしたから眠くないし。
「じゃあ私も!」
「・・・姫雪は酔うと疲れるから、寝てていいよ。人形たちはもう眠ってるけど。」
人形たちには、睡眠も覚醒も存在しているが、寝すぎても起きすぎても別にかわりはない。
「うん、じゃあ先に寝るね。おやすみ。」
「おやすみ。・・・さてと、レミリアたちは元気かな。」
「今日の月は十六夜かしら。」
グラスに入ったワインを回しながら月を見る。いや、正確にはそう思いながら。今日の空は薄い雲によって月光と闇の境界がぼやけて見える。それでも月の光は雲に負けず、地上に光は降り注いでいる。
「そうだね、多分今日は満月よりほんの少し欠けてるかな。」
「ええ・・・うわぁっ!?」
驚いた。いきなり横に現れたうえに、その現れた人物は、しばらく会っていなかった葉川裕海だった。
「・・・あら、もう帰ってたのね。」
「ああ、今日の昼ごろに帰ってきたよ。それよりも、月見酒に付き合いに来たよ。」
月見酒、か。一見赤黒く見えるこの赤ワインを飲みながら、純白の光を放つ月を見る。なかなかいいじゃない。
「まあでも、曇ってるけどね。私があの雲、晴らしてやろうか?」
「いいや、これでいいよ。むしろこの方が風流だな。」
風流?一体どういうこと?
「風流って何よ。」
「月をそのままありのままを見るんじゃなくってね、多少雲に包まれて月の輪郭がぼやけて見えるとき、その時は月を想像するんだよ。もちろん現実の月もいいものだけど、想像から生
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