悪魔討伐
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運悪くリザードマンの集団に遭遇してしまい、俺たちが最上部の回廊に到達した時には安全エリアを出てから30分が経過していた。途中で軍のパーティーに追いつくことはなかった。
「ひょっとしてもうアイテムで帰っちまったんじゃねぇ?」
おどけたようにクラインが言ったが皆そうではないだろうと感じていた。長い回廊を進む足取りが自然と速くなる。
「あぁぁぁぁぁ……………」
かすかに聞こえたそれは間違いなく悲鳴だった。
俺たちは一斉に駆け出した。敏捷力パラメータの最も高い俺が先頭を突き進み次いでキリトとアスナが走ってくいく。扉の手前で急激な減速をかけ入り口ギリギリで停止した。扉の内部は地獄絵図だった。悪魔のHPは3割も減っていない。その影で必死に逃げ惑うのは軍の部隊だ。もう統制も何もあったものではない。しかも人数が2人足りない。
「早く転移アイテムを使え!!」
だが軍のメンバーは絶望に満ちた表情で叫び返してきた。
「だめだ……!く……クリスタルが使えない!!」
<結晶無効化空間>だと!?
「なんてこと……!」
追いついてきたアスナが息を飲む。その時悪魔の向こう側で1人のプレイヤーが剣を高く掲げ怒号を上げた。
「何を言うか!!我々解放軍に撤退の文字はあり得ない!!戦え!!戦うんだ!!」
その時クラインたちが追いついてきた。
「おい、どうなってるんだ!!」
キリトが手早く事態を伝える。クラインの顔がゆがむ。
「な…なんとか出来ないのかよ」
できるかもしれないが死者が出る確率がある。俺が迷ってる間にどうにか部隊を立て直したらしいコーバッツの声が響いた。
「全員…突撃……!」
なんだと!?撤退を最優先にしないだと!?バカが!!
悪魔は仁王立ちになると口からまばゆい噴気、恐らくブレス攻撃を撒き散らした。8人の突撃の勢いが緩む。そこにすかさず悪魔の巨剣が突き立てられた。1人が切り飛ばされ俺たちの眼前の床に激しく落下した。コーバッツだった。あり得ない、無音でそう言った直後無数のポリゴン片となって爆散した。
「だめ…だめよ………もう…だめーーー!!」
絶叫と共にアスナは疾風の如く駆け出した。
「チィッ……!!」
俺はやむなくその後を追った。キリトやクライン達も追随してくる。アスナの捨て身の一撃は悪魔の背中に命中したがHPはろくに減っていない。グリームアイズはアスナに向かって斬馬刀を振り下ろした。アスナはステップでかわしたが余波で地面に倒れこんだ。そこに連撃の次弾が容赦無く降り注ぐ。
「おおおおおおっ!!」
俺は抜刀術ソードスキル<紫電>発動。悪魔の攻撃軌道をそらすことに成功。
「下がれ!!」
キリトの指示に従い悪魔の追撃をキリトが防ぐ。
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