第二章
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第二章
「後はそれだけね」
「しっかしねえ」
ここで波江は溜息を出してから知美に対して言うのであった。目が呆れた感じになっている。
「どうしたものやら。あんたも」
「何が?」
「だから。狙ってるんでしょ」
波江の目が鋭くなってきていた。その目で知美に対して問うのであった。
「彼氏のこと」
「それは」
「わかってるから。全く」
ここまで言ったうえでさらに言葉を続ける。
「ある程度計算も入ってるからあんたはわからないのよ」
「そうかしら」
「自覚していないのならそれならそれでいいわ」
自覚もある程度はしているだろうと思ってはいる。しかしそれ以上は言わなかった。言う気がが失せたのである。
「まあ。頑張りなさいよ」
「うん」
小さい子で波江の言葉に頷いてみせてきた。
「私、きっと」
「さて、どうなるかしら」
少し醒めた言葉になっていた。
「それも見せてもらうわ」
こうして知美の彼氏獲得作戦がはじまった。それはまずは巧妙な情報収集からはじまった。
何気なく中学校の時の友達で今は樫葉高校に通っている娘達のところに来てそこで本当にさりげなく相手の特徴を聞く。表面上はぼけたふりをして。
「ああ、あの子ね」
「あの子って?」
「保志健一君よね」
その中の一人が彼の名を口にした。この名前こそ知美が知りたかった彼氏の名前なのである。
「保志君っていうの?」
「そうよ、保志健一君」
知美にとって非常に都合のいいことに名前が繰り返された。これで名前をさらに頭に入れる。しかしそれは決して顔に出すことはない。
「それがどうかしらの?」
「ううん」
すぐに暢気な笑みで首を横に振ってみせる。
「何でもないわ」
「そう、別にいいのね」
「うん、それでね」
すぐに話を打ち切る。だがそれはやはり顔には出さない。何事もなかったように他の話をする。そうしたことを繰り返し彼の中学校まで聞いた。
「樫原中学だったのね」
「ということはあれね」
今度は波江と学校で話をしている。実は二人の高校は所謂付属高校なのだ。それで大学の校舎にでも放課後ならば出入りすることが可能だ。今二人は大学の校庭のベンチに座って二人並んでクレープを食べている。ベンチの側の木が陰を作っていて爽やかな雰囲気を醸し出している。
「樫原から樫葉までだと私達と一緒の電車のコースね」
「そうなのよ。それで」
ここから波江は知美の凄さを思い知ることになった。
「彼って部活は入っていないらしいのよ」
「そうなの」
それも何気なく調べていたのであった。
「それでね。はじまる時間がね」
「ええ」
今度ははじまる時間ときた。だが波江は何のはじまる時間かはわからなかったのでそれを尋ねることにした。
「それで何のはじまる
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