第七章
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なこと言ってないじゃない」
洋子は慌ててそれを否定した。
「だからね、節度を持って欲しいのよ」
「節度を」
「あんまりベタベタしなかったらそれでいいから。ね、それでいいでしょ」
「じゃあ一緒にいていいんだね」
「だから仕方無いじゃない、こうなったら」
また仕方無いと言った。
「あんたと付き合うってことになったんだから。覚悟を決めたわ」
「覚悟を?」
「ええ。はっきり言うわ、こうなったら」
そう言って友一に向き直った。
「付き合ってあげるわ。感謝しなさい」
「有り難う、洋子君」
「本当に。負けたわよ」
苦笑してそう言う。
「こうまで押しが強いと。それで急にいなくなっちゃうし。そんなことされたら困っちゃうじゃない」
「恋は焦らず」
「焦らず?」
「あるドラマの題名だけれどね」
「古いわね」
早苗はそれを聞いてそう呟いた。
「そう思ったから。離れたんだよ」
「嘘仰い」
だが早苗の言葉は二人には届かない。ましてや友一の耳には。
「私のアドバイスじゃない」
「そして私はそれに釣られたのね」
「けれど本当に嫌だったらそれで終わりだったよね」
「まあね」
それも認めざるを得なかった。
「本当に。それで終わりだったのに」
「終わらなかったね」
「そうね」
嫌そうに言うがその顔は笑っていた。
「それじゃあこれからはじめようよ」
「気が乗らないけれどね」
「まあまあ」
「やっとね」
早苗はそんな二人を見てさらに言う。
「世話が焼ける二人だこと」
そこまで言うと窓から姿を消した。そして彼女もふとと思うことがあった。それは何か。本音である。
「私も何時か」
彼女は思った。
「洋子みたいになりたいな」
これが本音であった。
軽い男 堅い女 完
2005・10・9
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