暁 〜小説投稿サイト〜
軽い男 堅い女
第七章
[3/3]

[8]前話 [9] 最初
なこと言ってないじゃない」
 洋子は慌ててそれを否定した。
「だからね、節度を持って欲しいのよ」
「節度を」
「あんまりベタベタしなかったらそれでいいから。ね、それでいいでしょ」
「じゃあ一緒にいていいんだね」
「だから仕方無いじゃない、こうなったら」
 また仕方無いと言った。
「あんたと付き合うってことになったんだから。覚悟を決めたわ」
「覚悟を?」
「ええ。はっきり言うわ、こうなったら」
 そう言って友一に向き直った。
「付き合ってあげるわ。感謝しなさい」
「有り難う、洋子君」
「本当に。負けたわよ」
 苦笑してそう言う。
「こうまで押しが強いと。それで急にいなくなっちゃうし。そんなことされたら困っちゃうじゃない」
「恋は焦らず」
「焦らず?」
「あるドラマの題名だけれどね」
「古いわね」
 早苗はそれを聞いてそう呟いた。
「そう思ったから。離れたんだよ」
「嘘仰い」
 だが早苗の言葉は二人には届かない。ましてや友一の耳には。
「私のアドバイスじゃない」
「そして私はそれに釣られたのね」
「けれど本当に嫌だったらそれで終わりだったよね」
「まあね」
 それも認めざるを得なかった。
「本当に。それで終わりだったのに」
「終わらなかったね」
「そうね」
 嫌そうに言うがその顔は笑っていた。
「それじゃあこれからはじめようよ」
「気が乗らないけれどね」
「まあまあ」
「やっとね」
 早苗はそんな二人を見てさらに言う。
「世話が焼ける二人だこと」
 そこまで言うと窓から姿を消した。そして彼女もふとと思うことがあった。それは何か。本音である。
「私も何時か」
 彼女は思った。
「洋子みたいになりたいな」
 これが本音であった。


軽い男 堅い女   完


               2005・10・9



[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ