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真鉄のその艦、日の本に
第十一話 人として、人でなしとして
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しっかりしろ!」

長岡は自分が先ほどされたように、遠沢の首筋に刺さった針を抜こうとした。が、かなり深く刺さっているのか、抜けない。そうしてるうちに、遠沢が悲鳴を上げながら転げ回り始めた。長岡も押さえきれずに、暴れる遠沢に吹っ飛ばされる。

「記憶を操作できるって便利です。副長のように、偽の記憶掴ませる事もできますけど、今やってるのは、この子の記憶を再体験させてあげる事です。」
「あぁん!?んな事が」
「出来るんですよ、私には。」

風呂元が勝ち誇ったように笑う。
長岡はもう一度、暴れまわる遠沢に挑むが、再度吹っ飛ばされる。

「この子が今どんな夢を見ているか、興味ありますか?ちょっと凄いですよ。爪を剥がされ、鞭で打たれ、ウォーターボーディングに電気ショック。拷問されてない間は強姦ですか。いや〜可哀想ですね。ま、そういうのをもう一度体験してもらってます」
「なっ!止めろ!今すぐ止めろ風呂元ォ!」
「止めろと言われて止めるもんですか。この子と私たちは殺るか殺られるかなんですよ。面白いですよねー。この子、化け物の癖して、心は人間なんだから。精神攻撃だけは、普通の人間と同じだけ効くんですよ。あともう少ししたら、発狂して心が死にます。ウフフ」

風呂元は拳銃を構えた。銃口が長岡に向く。
長岡は足がすくんだ。

「これで詰み、ですね。今更銃を構えても無駄ですよ。副長が私に銃を向ける前に、私が撃ちますから。さようなら。今後の日本が美しい国である事、あの世で祈っていて下さい。」

バァーーン!

銃声が響いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なっ……何でよ!何であんたがッ!」

風呂元は血を滴らせている右手を押さえてうずくまった。中野は風呂元に銃口を向けたまま歩み寄り、床に落ちた拳銃を遠くに蹴飛ばした。

「何でだと思う?」
「ふざけるのはよしなさいよ!今更……今更臆病風に吹かれたって言うの!?もう私たち、戻れないのよ!今更、普通の生活なんかにはッ…!」
「俺は臆病風になんか吹かれていないし、戻ろうともしていない。……そろそろ目を覚まそうか。」

風呂元の首筋に中野は手をついた。
そして、あるものを掴んで引っこ抜いた。

「キャアーーッ!」

風呂元が痛みに悲鳴を上げる。中野の手には、風呂元が遠沢に埋め込んだのと同じ、待ち針のようなインプラント。中野はフフン、と鼻で笑った。

「風呂元、お前は優秀だったよ。情報操作、撹乱に特化したお前だけは、複製人間の中でも廃棄処分は決定していなかった。そんなお前が脱走したんだぜ?上戸局長が代わりを立てないと思うか?立てるに決まってるよなぁ。どうせなら耐用年数間近のお前より、ずっと性能が良い奴をさ。」
「……それがあんただったと……
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