第十一話 人として、人でなしとして
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……何ですか……?」
「お前、そこで休んでろ」
長岡は寝ている遠沢に背を向けて歩き出した。
“あいつ”が居る場所は、だいたい分かる。
自ら出向いてこなかった“あいつ”。
……だったらこっちから行ってやる。
「……ダメですよ。死にに行くつもりですか」
遠沢はよろよろと起き上がろうとしたが、長岡は「来んな!」と怒鳴りつけた。
「東機関の目的なんぞ知らん。ただ、俺はあいつとだけは俺自身で決着をつけないけんのじゃ!……あいつは、友達だけんなぁ!」
そう言って、長岡は通路をずんずん進んでいく。その背中は、死地に赴く男の背中だった。どうやっても追いつけない、彼岸の背中だった。
それを見て、遠沢は追うのを止めた。
冷たく、血に汚れた床に、その身を横たえた。
第十二話に続く。
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