第五章
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はしなかった。
「私は我慢してあげるから。少し位なら側に来てもいいよって。伝えてくれるかな」
「それでいいのね」
「・・・・・・うん」
顔を背けたままこくり、と頷く。
「お願い」
「わかったわ」
早苗はそれに頷いた。
「じゃあ明日ね。今から彼にそう伝えておくから」
「お願いできる?」
「ええ。それでいいのね」
「うん」
洋子は同じ姿勢のまま頷いた。そしてその時はそれで終わった。
洋子は家に帰って風呂に入った。そして浴槽に浸かりながら友一のことを考えていた。
「どうなるのかな」
今までのことも思い浮かぶ。いつもまとわりつかれ迷惑だったがいざ急にいなくなるとやはり寂しい。いや、寂しさ以上のものも感じていた。心が次第に苦しくなりだしていたのだ。
「・・・・・・・・・」
次第に考えが深くなりそれはベッドの中でも続いた。夢にはやはり彼が出て来た。しかしどういうわけか前のそれよりは遥かに受け入れ易いものであった。内容はさして変わらないというのに。それが極めて不思議ではあった。
翌朝身支度を整え家を出る。普段よりお洒落をしている気持ちはある。ブローチもいつものより可愛いものにし、顔も念入りに洗った。そして靴下も新しいものだ。何処か身構えていた。
「さて」
辺りを見回す。彼はまだ来てはいなかった。
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