暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
マクロスF
0703話
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眼球に見えるが、耳を澄まして、眼を凝らしてよく聞き、見れば、そこにあるのは人工の存在。つまりはインプラントか。このフロンティア船団ではインプラントは違法であり、つまりはイカサマなのだろう。
 なら、こちらもそれ相応の態度を取らせて貰おうか。
 再びのコイントス。空中へと弾き上げられたコインが降ってきたその瞬間……俺は瞬動を使い、男の足を刈ってそのまま床へと押さえつける。
 同時に周囲でざわめく観客達。ディーラーに、シェリルも驚きの表情で俺へと視線を向けており、体格のいい黒服の男達も俺の方へと足を踏み出していた。

「イカサマだ」

 その一言で足を止める黒服達を横目に、押さえつけられている男の右目の瞼を強引に開ける。

「確認してくれ」
「……確かに、インプラント処理されているもののようですね」

 ディーラーが確認し、そのまま男が何かを言う前に口元を抑えて強引に連行していく。勿論コインは全部残したままだ。

「何故分かったんですか?」

 そんなコインを纏めて俺の方に差し出しながら尋ねてくるディーラーに、小さく肩を竦めて口を開く。

「俺の身体能力に匹敵するような奴がフロンティア船団にいるとは思えなかったんでな。注意して見ていたところ、目の……眼球の挙動がおかしな事に気が付いた。それでだな」
「……」

 その一言が余程驚いたのか、それ以上は何を言うでもなく黙り込む。
 その後はコインを現金へと換え、かなりの額を受け取ってシェリルと共にカジノを出る。
 何だかんだ言って既に夕方近くになっていたからな。

「……アクセル、ありがと。はい、これはお礼よ」

 そう言い、ポケットから取り出したのは1枚のチケットだった。何だか、初めて会った時の事を思い出すな。

「あたしのさよならライブ。来週やるから、今度は絶対に見に来てね。アクロバット飛行のバイトとかをしないで」
「ああ、そうするよ。ついでにその時にイヤリングも持っていくから」
「……ええ、お願い。それとこれは、さっきのイカサマしてた男からあたしを助けてくれたお礼よ」

 そのまま近づき、頬にシェリルの唇が触れる。

「か、感謝しなさいよ! こんなサービス、滅多にしないんだからね!」

 頬を真っ赤に染めながら走って去って行くシェリルを見送り、俺もまた小さく笑みを浮かべるのだった。
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