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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第四節 強襲 第二話 (通算第37話)
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反射光が当たる。紺に見えていた機体の内一機は紺の部分がやや緑がかっているのが一瞬みてとれた。が、光は直ぐに流れ、闇を映す地肌に戻る。
 スラスターの尾が二手に別れ、虚空に消えた。紺と濃緑の二機が赤い一機を援護するような軌道で旋回し、〈グリーンノア〉へと向かう。
 サイドに建設されたスペースコロニーは互いの距離を等間隔に保っている。コリオリの反作用を防ぐためで、一○○キロメートルの間隔で一対になるように建設されていた。サイド7の首都島である〈グリーンノア〉は、〈グリーンオアシス〉と対になっている。各サイドには地球連邦軍コロニー駐留軍が拠点とするガーディアンバンチが存在し、ここサイド7では〈グリーンオアシス〉に駐屯地があった。ティターンズはコロニー駐留軍の駐屯地を接収し、建設途上であった開放型コロニーにジオン共和国から供出させた密閉型コロニーを繋げ〈グリーンオアシス〉を基地化した。そして、ティターンズが宇宙の覇者となるべき橋頭堡としたのである。〈グリーンノア〉の住人も殆どが軍または開発関係者とその家族であり、連邦軍にとってルナツーに次ぐ重要拠点といえた。
「平時とはいえ、ティターンズの本拠地が、こうも手薄とはな…」
 シャアは拍子抜けしていた。ここは敵地の中枢とも言うべきサイド7である。それがかくも簡単にMSの接近を許してしまうのは、隙というものが人の慢心によって招かれることだと自重の思いを強めるが、シャアとて人である。
 機体を操作して、作業用ハッチのロックを解除する。MSのマニピュレータが滑らかに動いた。MS用の緊急ハッチがオープンのシグナルを中央管制室へ送る。だが、今日はコロニー公社の研修があるという通達がなされているため、疑う者はいない。ティターンズが〈グリプス〉を幾ら軍事転用しているとはいえ、民間が絡めばコロニー公社を追い出すことはできなかった。そのコロニー公社はアナハイムと親密であり、そういう意味でエゥーゴの支持が宇宙では圧倒的多数とも言えた。
「だからこそ、付け入る余地があるということでもある…が」
 軍人である以上、そうで在ってはならないと思うのがシャアのシャアたる所以であろうか。ニュータイプとて、戦場の緊張感なしに目覚めることは難しいのではないかと、自分と宿敵アムロ・レイの覚醒の事実から手前勝手に解釈してもいる癖に、である。女性のニュータイプ発現については少し異なるかもしれないと考えてはいたが、いずれにせよ、戦場の匂いがニュータイプの覚醒に必要だと直感していてなお、軍人の職務怠慢には敵であっても赦せないのだ。真面目すぎる――それが他人を寄せ付けない自分の壁であるとは自覚してさえいない。
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