第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第三節 過去 第五話 (通算第35話)
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し〈グリプス〉に接近、MS隊出撃後、外縁部にて待機する。《チバーヌス》は〈ルナツー〉外縁で帰路の確保というオーダーを再確認した。二隻のサラミス改は訓練を装い、ルナツー宙域に進入しミノフスキー粒子の撒布を行うことになっており、既に進発している。
「クワトロ大尉への負担が大きいな…」
エルンストが懸念を示す。シャアであることを知る彼はこんな些末な戦いでシャアを喪う訳にはいかないのだ。
それはシャアにも解る。しかし、ここは自分が行かねばならないと感じていた。七年前の因縁すら感じていた。まして、この作戦の指揮を取れるパイロットはそう居るものではない。この作戦が成功さえすれば良い。
「大佐、私にできねば、スポンサーにも言い訳が立つでしょう」
「鎖に繋がれた猟犬は鎖から解き放たれるまで吠えぬという。無茶な作戦ではいくら努力しても報われぬ。が、大尉の行動については私の管轄外だ。大尉が行くと言うのであれば、否はない」
エルンストが肯首した。
ダイクンを嗣ぐものが必ずしも継ぐものではないことをエルンストとて知らぬ訳ではない。だが、今、ダイクンを継ぐ資格があるのはシャア以外にいない。生粋のダイクン派ならば無制限にシャアを信じればよい。だがエルンストは共和派に属する。シャアという人間に惹かれてはいても、自分の立場を忘れる訳にはいかない。それが、自分の気持ちにそぐわなかったとしても。
「それでは解散!総員第一種戦闘配置!」
この言葉こそ、のちにグリプス戦役と呼ばれる連邦最大の内乱の幕開けであった。
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