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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第三節 過去 第五話 (通算第35話)
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トリズム、さらにジオニズムという流れは時代を逆行したかのような印象を受ける。ガンジー・キング・イケダは先達の思想を昇華させ、その平和活動を発展進化させたが、スペースノイドの支持はそれとは逆行しており、スペースノイドの懐古主義的な思想が見え隠れするのも特徴的であった。だからこそエゥーゴはジオニズムではなく、エレズムを根本とした組織連合であったのだろう。原点回帰である。
 だが、エゥーゴには人民の思想と行動を収束し、精神的支柱となるべき指導者が不在だ。喪われていると言ってもいい。故ジオン・ズム・ダイクンを超える者が現れぬ限り、その結末には輝かしい未来を描きえない。政治的後継者だったデギンも、カリスマ的後継者だったギレンも既に居らず、エレズムは思想的な――魂の継承者がいないのが現状である。
 現在、エゥーゴの主導的立場にあるブレックスはあくまでも軍事的指導者でしかなく、彼自身、己の力不足を知っており、ティターンズの跳梁に対して反政府運動の横の繋がりを取り持った調停者でしかなかった。そういう意味でも、エゥーゴは反地球連邦政府運動組織連合(Anti Earth Federation United Group)と言える。また、経済界を束ねるメラニー・ヒュー・カーバインは単なるスポンサーの一人に過ぎず、地球偏重の軍需の壁を廃するためにエゥーゴを利用しているに過ぎない。
 指導者の不在。
 魂の継承者の欠如。
 それは、安易に暴走する危険を伴う。特に相対する相手が選民思想に凝り固まった地球至上主義の軍隊であれば、なおさらである。エゥーゴの構成員は現地徴用兵人として登録されており、それが組織を整然とする一方、平和運動へのシフトを不可能にしている。
「とにかく、先ずは作戦会議だ」
 エルンストらを促し、艦橋を出る。ブリーフィングルームに入ると士官の主だった者は既に集っていた。
 部隊編成は既に決まっている。
「強行偵察隊の隊司令はクワトロ・バジーナ大尉が就く。指揮下にアポリー・ベイ中尉、ロベルト・フォス中尉」
 ヘンケンがおもむろに発表する。あくまでも確認のためだ。
 三人の乗機は共にMSA−000《リックディアス》である。アポリー、ロベルトは本来《チバーヌス》所属の攻撃小隊の長であるが、今作戦においてジオン共和国軍のMSを使うわけにはいかないこと、《アーガマ》に搭載している《リックディアス》が五機しかないこと、そして何より少数精鋭で臨むべきとの判断からシャアと小隊を組むことになった。
 後衛の小隊長はレコアが指名された。《リックディアス》との親和性が買われての抜擢である。《ジムU》のカミーユ・ビダン少尉とランバン・スクワーム少尉が随伴する。残る《リックディアス》二機のバッチ中尉とバリス中尉は《アーガマ》の直掩だ。
 母艦たる《アーガマ》はダミーを展開
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