第三章
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るのである。
「大体二週間で向こうの親御さんとか婆やさんに話が通ったってのが凄いぞ」
「かなり簡単にいったみたいだな」
生樹が述べる。どうやら彼は占ってそうしたこともチェックしたようである。
「運がいいことだ」
「こいつは一応は悪い奴じゃないからな」
彰はそれは認める。
「頭が悪いだけでな」
「おい、そう言うのかよ」
「大体御前はあのこと言ったのか?」
「あのことって?」
「どうして彼女のことを知ったかだ」
聯は彼に問う。
「言っていないな」
「いや、それは流石に言えないしよ」
今度は困った顔だけになる。下着を見て惚れ込んだなどと言っては変態と思われても仕方ないからだ。そうした分別というか常識は信次にもある。
だから答えるのだ。困った顔で。
「街で見て普通にって言ったよ」
「まあ本当だな」
「そうだな」
修一と生樹は一応はその言葉に頷く。
「そもそも下着のことは言ったら終わりだ」
彰は言い切る。
「そうだよ。もうここまできたら明日のデートは大成功させてやるぜ」
「まあ頑張れ」
聯が彼に声をかける。
「ああ。しかしよ」
信次はここで言ってきた。
「どうしたんだ?」
「いや、そもそもよ」
彼は最大の謎について気付いた。その最大の謎とは。
「何で黒だったんだ?」
彼は言う。
「あれ不思議なんだけれど」
「ああ、そうだよな」
修一がその言葉に頷く。言われてみればそうであった。
「そこだよな。何でだ」
彰も言う。彼もそれに気付いて考える顔になる。
「キリスト教の学校だからじゃないのか?」
「いや、それだと余計に白じゃねえのか?」
信次は生樹にそう突っ込みを入れる。
「清らかにってことで」
「そこじゃないのか」
聯が言ってきた。
「見えた時にな。それだ」
「見えたのがか」
「そうだな。白より黒の方が目についたりするだろ」
黒い下着の持つ色気である。それを言うとかなりの謀略をそこに感じる。信次はそのことに気付いた。
「だからかよ、黒は」
「かもな」
「清心って厳しい学校だったんじゃないのかよ」
「それも余計にだな」
聯がまた言う。
「隠すから罠なんだ」
「ミッションの大学だから。つまり」
信次は言われてふと呟く。
「ミッション=トラップってわけか」
覚えたての言葉を使う。どうやら清らかなものにも実は裏にあることがわかったのであった。
ミッション=トラップ 完
2007・3・1
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