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ミッション=トラップ
第三章
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える。何となく昔の漫画のような展開になっているが当人達はそれに気付くことなく話を続けていく。
「大丈夫です。あの」
「ええ」
「有り難うございます、おかげで」
 信次を見上げて言う。まだおどおどしているがそれでも何とか気を確かに保っていた。信次はそんな彼女の顔を見てどぎまぎしていたがそれは何とか必死に抑えて話をしていた。
「助かりましたし」
「気をつけた方がいいですよ、やっぱりこんなのいますから」
「ですよね」
「これからは。またこんなことがあったら」
「その時はですね」
 瑠璃が言ってきた。
「貴方が一緒にいれくれたら」
「えっ、俺って」
 その言葉を聞いて最初は何があったのかわからなかった。それでも瑠璃は言う。その顔からは怯えが消えてにこりとした笑みになっていた。その顔で彼を見上げていたのだ。
「駄目ですか?」
「いや、その」
 今度は信次も戸惑いを隠せなかった。目を白黒させて唖然としながら瑠璃に言うのであった。
「それって」
「それって?」
 瑠璃もそういうことがわかっていないようであった。育ちがあまりにもいいせいであろうか。彼女は無邪気に微笑んで信次を見ているだけであった。
「ですから。私の側にですね」
「俺がですか」
「ボディーガードとして。駄目でしょうか」
「あの、それって」
 信次は戸惑いながら彼女に問うた。
「そのですね、つまり」
「何か?」
 しかし彼女はわかってはいない。そもそも恋愛とか交際とかそうしたことがあまりわかってはいないようなのだ。やはり育ちのせいであろうか。
「いいんですか、それって」
「是非共」
 何もわかっていないまま言う。
「当然御父様達や婆やにもお話しておかなければなりませんが」
「はあ」
 婆やとかそうした言葉自体が信次にとっては現実にあるとは思えない言葉であった。八百屋の家の息子で自分も店で威勢よく野菜を売っている彼にとって使用人とかそうした言葉は唖然とするものだ。しかし瑠璃にとってはこうしたことも自然なのだ。にこりと笑ったまま話を続ける。
「お願いしますね」
「わかりました」
 ぽかんとしたまま述べる。何はともあれ彼は瑠璃の側にいていいということになったのであった。

 それから暫く経って。信次は教室で仲間達に話していた。困った感じが顔に出ているがそれ以上に楽しげな様子であった。
「それでよ、明日なんだ」
「明日なのか」
 聯はそれを聞いて言ってきた。
「早いな」
「早いか?」
「知り合って二週間だろ?確か」
 彼は早いかと問う信次に対して述べてきた。
「それだとかなり早いぞ」
「そうなのか」
「御前本当に何も知らねえな、おい」
 修一は信次のその言葉に腕を組んで呆れ顔になっていた。信次のこうした話への疎さに呆れてい
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