第一章
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「御前だってずっとあの先輩に振られてばかりじゃねえか」
「俺は何度でもアタックするさ」
しかし修一はめげない。そんな調子だ。
「一回や二回じゃ諦めないよ。何度でもな」
「脈はないな」
横から聯が言ってきた。
「あの素っ気無い様子じゃな」
「そうだな」
もう一人の仲間、黒髪で表情を変えない男が言ってきた。彼の名は佐倉生樹という。彼は部活で有名で占い研究会に所属している。
「占ったが。駄目だ」
「駄目なのかよ」
「脈はないな」
生樹はそう修一に語る。
「それでもだ。御前が彼女にアタックするのには反対はしない。好きにしろ」
「わかったぜ。俺は占いなんか信じないしな。何度でもやってやるさ」
「それはそれでいいな」
聯はそんな彼に対して述べる。それからまた信次に顔を向けてきた。
「御前もそうしたらどうだ。とりあえずは相手を見つけてな」
「相手か」
「まずはそれだな」
語った後ですっと笑った。
「相手を見つけることだ」
「誰もいねえんだよな、本当に」
それがまず大変であった。恋愛をしようにもそれにはまず相手を見つけることが肝心なのだ。相手がいないとどうしようもない。今彼は相手が見つからないで困っているのであった。
その日は相手を見つけようとか考えながら一日を過ごした。サッカー部の部活を終えて下校している時である。そこに友人の一人浜崎彰がやって来た。
「おい」
彼もまた背が高い。少し柄の悪い感じの男で短気なことで知られている。金色に近い茶色の髪で服も信次のそれよりラフな感じであった。
「今帰りか」
「ああ」
信次はそれに応えた。彰はすぐに彼の横にやって来た。
「そういえば御前昼に工藤や南平と何か話をしていたよな」
「見ていたのか」
「少しだがな」
威はそう彼に応えた。
「別に覗き見していたわけじゃないがな。見ていた」
「じゃあ何の話していたかもわかるよな」
「勿論な」
威は彼に言葉を返した。
「彼女か。悪くはないんじゃないのか」
「やっぱりそうか」
「男でも女でも近くに誰かいるのといないのとじゃ全然違うもんだ」
信次に語る言葉はやけに説得力があった。それもかなり。
「全然か」
「御前兄弟とかいないだろ」
「ああ、俺だけ」
信次は答える。
「一人っ子なんだよ」
「俺はまあ弟がいる。何かわからないが全然似ていないがな」
彼は空手部に所属していて運動神経はかなりいい。彼の弟は学業優秀なのだ。兄弟で個性はかなり違っているのである。
「それでも隣に誰かいるといないじゃ全然違うもんだ。いてはじめてわかる」
「はじめてか」
それを聞いてさらにわからなくなった。彰と並んで歩きながらもあれこれ考えていた。そこに前から彼等とは別の学校の制服の女の子達がやって
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