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人狼と雷狼竜
今後の為の方針
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との接触は控える。だが……」
 三人はヴォルフの言わんとしている事が理解できた。
「一人でも人数が増えればそれも不可能になる。力量不足ならばより確実に」
 つまり、全力を持って強行偵察を行う以上、このユクモ村に居る人間は足手纏いにしかならないのだ。
「やっぱり無茶じゃない!」
 が、神無は却って大きく出た。
「二日間も不眠不休で歩くなんて絶対ダメ!」
「……神無?」
「ヴォル君が平気って言っても私は絶対に許さないからね!」
 ヴォルフが神無を嗜めようとするも、彼女は聞く耳持たんとばかりに捲くし立ててきた。対するヴォルフは言葉に詰まって反論出来ない。
「そうですよぉ〜。神無ちゃんの言うとおりですぅ」
「同感ね」
 夏空と小冬まで神無に同意してきた。
「三日で済むといっても、そんな無茶は絶対にダメだよヴォル君!」
 神無は更に身を乗り出して説得してくる。前屈みになった事で着物の隙間から彼女のふくよかな谷間が強調されたが、生憎とヴォルフはそちらの方面には疎すぎた。
「アンタなら何度も経験あるんでしょうけど、今のアンタは一人じゃない。私達って言う仲間が居るでしょ?」
 仲間。この言葉はヴォルフの中に深く染み渡るものがあった。暖かくて、何処か安心する響き。同時に自分に対する疑念が沸いて来た。
 結局自分は、仲間達の安否を言い訳にして、皆を足手纏いにしているんじゃないのか?
「そうですよ。無茶は体に毒ですからいけません」
 仲間とは何か? それはお互いに頼る物であり、助け合う物であり……否、理屈で考えている時点で意味は無い。
「……一人だけだ」
『え?』
 ヴォルフの言葉に全員が硬直する。
「今回はあくまで偵察だからな。人数は最小限で行く。武器が壊れた正太郎は無しだが」
 正太郎は数時間前の戦闘でナルガクルガに銃槍を破壊され、大楯も穴だらけにされている。銃槍の予備は無く、訓練所にも無い。とてもじゃないが参加は不可能だ。
 よって、明日からの偵察は神無、夏空、小冬、梓、椿の五人の中から誰か一人が、ヴォルフと共に偵察に出る事になる。
 二人だけでの行動など初めての事だ。明日からの事柄に期待と不安の入り混じった顔をする三人だった。
「ただし、装備は軽装の者のみに限らせて貰う」
 が、その一言で場の雰囲気は一変した。ヴォルフの言葉の意味を察したのか、夏空が目に見えて落ち込む。
 彼女の装備は火砲だ。他の面々に比べて大きくて重い為、偵察には全く向いていない。更に言えば使用する事になれば砲声という大音響を発する。
 そしてこの場には居ないが大槌を用いる椿と弓を用いる梓も除外された事になる。二人の武器は大きく嵩張る為、山道での隠密行動には向いていない。
 よって、ヴォルフに付いて行けるのは神無か小冬のどちらかになる。

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