第百八十二話 けいおん
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れらによりテレーゼ株は下級貴族や平民の間ではうなぎ登りに成るのであるが、門閥貴族からは下級貴族、平民、逆亡命者如き下賤の輩に頭を下げるなど皇族にあるまじき浅慮と白眼視され、ブラウンシュバイク公爵夫人アマーリエや公爵令嬢エリザベートからは“希に見る愚人”“あの様な孺子|(こむすめ)は皇妹ではない”“ゴールデンバウム皇家の恥知らずであり廃嫡するべき”などと散々なじられることになるのであるが、自分の存在を煙に巻きたいテレーゼにしてみれば願ったり叶ったりの結果と言えた。
宇宙暦794年 帝国暦485年12月27日
■イゼルローン回廊 自由惑星同盟側出口
「帝国側嚮導艦離れます」
オペレーターの声が坦々と事実のみを伝える中、自由惑星同盟軍宇宙艦隊総旗艦アイアースの会議室では宇宙艦隊司令長官ロボス元帥以下の面々が苦虫を噛みつぶした様な顔をしながらイゼルローン回廊を眺めていた。
其処へ情報主任参謀ビロライネン少将が資料を持って入室し長官へと話しかける。ビロライネンは、イゼルローン要塞至近での二日間もの間、誰にも邪魔されずに情報収集を行う事が出来たために今までにない膨大な資料が手に入った為、今の今まで情報参謀達と資料の照査を行っていたのである。
「ロボス閣下、遅くなりました」
「うむ、それで結果は?」
「はい、情報通り帝国は恒星アルテナの裏側で要塞規模の施設を建設している事が判りました」
ビロライネンの報告に会議室は喧噪に包まれる。
「やはりフェザーンと亡命者の話は本当だった訳だな」
「それで、結果はどの様な状態なのかね?」
グリーンヒルの質問にビロライネンが答える。
「はい、情報収集艦による電磁式、電波式、光学式、放射スペクトル確認などあらゆる方法を試した結果イゼルローンツヴァイは確かに存在する事が確認出来ました」
ビロライネンの報告にその場にいた者達から様々な声が上がり騒がしくなるが、ロボスが“ウホン”と咳き込み皆を黙らせた後でビロライネンに質問する。
「ツヴァイに関してだが、どの程度まで完成しているのか?」
「エネルギー放射力などをイゼルローン要塞に当てはめた所、核融合炉の廃熱等が認められずに、流体金属層にも廃熱の影響がない状態でした。また表面温度がマイナス5°程度となっておりますので、ツヴァイの核融合炉は未稼働だと思われます」
「情報の正しさが証明された訳だな」
「はい」
ビロライネンの話を聞いたロボスはイゼルローン要塞攻略戦の発動を決めた。
「諸君、聞いての通りイゼルローンツヴァイは未完成状態で有ることが判明した。此処で時間を置けばツヴァイが完成しイゼルローン回廊は正に難攻不落となるであろう。此は由々しきことである。したがって我が軍は当初の計画通り第6次イゼルローン要塞攻略
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