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Ball Driver
第二十一話 既視感
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「マジかよ」

少し戸惑う権城とは対照に、試される側の茉莉乃本人、そしてそれを見守る新入生達は実に平然としていた。


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「思い出しますね〜!1年前、入学早々品田先輩にあのスコアボードにまで届く特大ホームランを打たれた事!」
「それ今言うか?結構気にしてんだけど」

防具を付けたジャガーがニコニコしながらマウンドまで駆け寄ってくる。まさに1年前、紅緒とやった勝負の再現だが、今は試される側から、試す側になった、ただそれだけが異なっている。
権城としては、去年打たれたホームランが脳裏を過り、同じような目に遭った場合、先輩として臨む今回の方が明らかにダサいという事にも考えが及ぶ。相手はピカピカの一年生なのだから。

「キャッチャー、紗理奈キャプテンじゃないんだな。」
「キャプテンは、今回は脇で客観的に見ていたいそうですよ。それに、権城さんはいつもブルペンを暖めていますので、ブルペン捕手の私との方が普段通りで良いだろうとも」
「しれっと傷つく事言うなよ。確かに俺、2番手ピッチャーだけどさぁ……」

楽しそうにニコニコしているジャガーとは対照的に、権城は顔をしかめて、いつも自分が守っているセンターに代わりに入っている紅緒を睨んだ。そんなに1年が気になるなら、あんた自身が試せよ……

「で、楊茉莉乃はどんなバッターなんだ?」
「走攻守、欠点の無い好選手です。中等科でも、1年からレギュラーでした。手強いと思いますよ。」
「いや、もっと具体的に」
「具体的に聞いたら、対戦する気が更に失せると思いますけど、聞きますか?」
「……遠慮しときます」

不吉な予感ばかりが膨らんでいくが、しかしやれと言われた以上やらない訳にもいくまい。
権城はジャガーを捕手のポジションに帰して、マウンドに立った。



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「さぁ、いらっしゃい日本代表!」
(あ、まだ覚えてる奴居たんだ俺が日本代表だったって事)

右打席に構えた茉莉乃に、権城は相対する。
茉莉乃はスラッとした体つきで背筋を伸ばして構え、それでいて腰が据わっていた。
良い構えである。

(初球から出し惜しみなんてしてられねぇな!)

権城は初球から決め球に使っている高速スライダーを投じる。権城は紅緒ほどの球速も球威も無いが、制球は良く、また球は遅い訳でもない。
際どいコースに120キロ台のスライダーが決まる。茉莉乃は微動だにしなかった。

「ストライク!」

球審を買って出ている紗理奈の手が上がり、権城は一息ついた。茉莉乃は全く表情を変えない。

(ストライク一つ貰ったぞ。最低、長打さえ避けられれば俺としては“あんなのたまたまだ”って言い訳ができる。俺のスラ
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