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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第133話 桃香の再就職 前編
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を桃香に向けた。

「仕方ないじゃない! 先生がどうしても幽州には一人で帰りたいって言うし。私だって出来れば先生に付いて行きたかったんだから」

 桃香は正宗の言葉に怒るが次第に不貞腐れたように話だした。

「月華先生が幽州に帰った後、県令の任官を受けたのか? 誰に推挙してもらった」
「先生だよ。『あなたは世のために頑張りなさい』って言われちゃって」

 桃香は嬉しそうな笑みを浮かべ答えた。

「県令になるまで、お前は何をしていたんだ」
「先生のお手伝いだよ。正宗さん。私ね。お料理が得意になったんだよ。先生も愛紗ちゃんもいつも美味しいって言ってくれたんだ」

 桃香は満面の笑みを正宗に返した。

「私の元を去ってから月華先生の元でずっと居候をしていたわけか?」
「あはははは。そうなっちゃうかな。でも、あの時に私についてきた兵隊さん達は今でも頑張ってくれてるんだよ」

 桃香は苦笑いをしつつ、正宗に対して弁解した。正宗は桃香を冀州追放した折りに同行した兵達が未だ彼女の元にいることに驚いていた。

「私のことはどうして知ったんだ?」
「ああ。翠寧(すいねい)ちゃんが教えてくれたんだ。危ないところを正宗さんに助けてもらって凄く感謝してた。せっかくだから正宗さんに会いたいなと思って追いかけてきたの。あっ! お礼がまだだったね。正宗さん、ありがとうございました」

 桃香は無邪気な笑みを浮かべ話していたが、士仁を正宗が救ったことを思い出し急に立ち上がると頭をペコっと下げ正宗に礼を言った。正宗と冥琳は無表情で桃香の様子を見ていた。

「正宗さん、そんな顔で見ないでよ。怖いな」

 桃香は正宗と冥琳の反応に少し動揺した表情をするが、場の雰囲気を和ませようと明るい表情で正宗に言った。

「正宗様。桃香さんが怖がっているじゃありませんの。お二人の間に何があったか存じませんが、そんなに突き放したような態度をとることないじゃありませんの。桃香さん、ごめんなさいね。正宗様、昨日から虫の居所が悪いみたいなの」
「そうなんですか?」

 桃香は麗羽の割り込みに笑顔を返す。対して、麗羽は正宗の態度に呆れたような表情を向けた。

「桃香、旧交を交わすことができて嬉しかった。私達は荊州に急いで向わなければならない。これで失礼させてもらう。冥琳、休憩は終わりだ。片付けが済み次第、予定通り潁陰県に向うぞ」

 正宗は桃香に作り笑いをして話を終わらせた。その表情は何かに解放されたような晴れ晴れとしたものだった。

「正宗様、畏まりました。劉県令、この度は会えて嬉しかったです。進軍の準備がありますので失礼ながら先に退席させていただきます」

 冥琳はそそくさと席を退席すると天幕を出て行った。正宗は椅子から腰を上げようと
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