第133話 桃香の再就職 前編
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かし、関羽が劉備の元を自ら去ったことは大きいことだと思います。余程のことがあったことは確かです」
「人の弱みにつけ込むなんて気が進みませんね」
麗羽は困った表情を冥琳に返すと彼女は正宗の方を向いた。
「気が進まないだろうが辛抱してもらうぞ。頼んでくるのは桃香なのだからな。桃香は仮にも県令であり、自らの裁量で賊討伐を行い県の治安を維持しなければならない立場だ。自らの失態で家臣を出奔させ、その支援を私に求めるなど筋違いだ。役人が全くの部外者である私に支援を求める以上、相手に対価を差し出すのは当然のことだろう。それに愛紗を有無を言わさず攫うわけではない。賊討伐の対価が『愛紗への士官の交渉権』のみとは安過ぎるだろ」
正宗は前方を向き憮然な表情をする。
「正宗様、対価には金銭も追加すべきと思います。あまりに安過ぎては足下を見られかねません」
冥琳は正宗の策を補足する考えを提案した。すると正宗は冥琳を見て肯定の頷きを返した。
「冥琳、対価については一任する。頼まれてくれるか?」
「正宗様、おまかせください」
冥琳は拱手をして正宗の命令を受けた。麗羽は二人の様子を黙って見ていたが、二人の会話が終わると口を開く。
「正宗様、桃香さんと会う時は先程の様な憮然な表情はしないようにしてくださいね。仮にも白蓮さんのお知り合いでしょう」
「白蓮は桃香に散々煮え湯を飲まされたと思うぞ」
正宗は麗羽に嘆くように言った。
「正宗様、そう構えることはないのでなくて。まだ桃香さんが頼み事をしにくると決まった訳ではありませんのよ」
「確かにそうかもな。しかし、こうも必死に追いかけてくると普通何かあると思わないか?」
「それは」
麗羽は正宗の言葉に口を噤んだ。
「麗羽、お前を責めているのではない。ここは私と冥琳に任せてくれ。桃香との付き合いは私達の方が長い。あれから長く会っていないが、少しは成長していることを願うよ」
「私は幽州で桃香さんとは一度お会いした限りですけど、そんなに酷い方には見えませんでしたわ。少々、夢想家の気があるような感じはしましたわね。でも、正宗様と冥琳さんは桃香さんのことをよく見知っていますのよね。困りましたわね」
麗羽は顔を傾け可愛らしい仕草を正宗に返した。正宗は麗羽の態度に少し困った表情をするが馬足を止めることはなかった。
「麗羽様、細かい話は置いといて、劉備なる者の話を聞いてから考えてもよろしいのでないでしょうか?」
桂花は正宗と冥琳をフォローするように麗羽に言った。間髪を入れず、桃香が正宗達に追いついた。桃香は正宗の側に来るなり、頬を膨らませ不満げな表情で正宗を睨んでいた。その睨みはまるっきり迫力が掛けいたので正宗が動じることはなかった。
「正宗さ
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