第133話 桃香の再就職 前編
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「桃香を追い払えるのか? 多分、今の桃香はしつこいぞ。私達を追いかけてきたのは旧交を温めるためではあるまい。打算によるものだろう」
正宗は冥琳の献策に難色を示した。冥琳は表情を変えず口を開いた。
「劉備の目的は正宗様のご推察通りでしょう。ですが、この軍の長であられる正宗様が不在では劉備の要件など無視できます」
「冥琳、お前は桃香を甘く見ている。要求を通すために自ら壁となり道を塞ぐのは目に見えている。桃香を殺しでもしない限り無理だぞ」
「斬ってしまえば面倒が無くていいですね」
冥琳は表情を変えず言った。
「流石に名分もなく県令を斬るのは不味いだろ。あれでも民からは人気があるようだからな」
正宗は冥琳の態度に引き気味の表情で言った。冥琳は正宗の言葉に溜息を吐いた。
「わかっております。この方法は最良とはいえませんが最悪でもありません。最悪、正宗様達だけで荊州へ向ってください。私は荀家にて正宗様が来られるのを待ちます。麗羽殿には申し訳ありませんが桂花も私と一緒に残っていただきます」
「散々な言われ様ですわね。お二人にそこまで言われるということは桃香さんはさぞ面倒な方なのでしょうね」
麗羽は正宗と冥琳の会話を側で聞き、苦笑いで二人に言った。麗羽の態度に正宗は深い溜息をつく。
「どうされます。劉備はもうそこです。今直ぐご決断を!」
冥琳は正宗を真剣な顔で見つめ返答を求めた。
正宗は一瞬黙考し何か思いついた様に薄い笑みを浮かべた。その表情から、この状況を上手く打開する悪知恵を思いついたように見えた。正宗の表情の変化を冥琳は彼の横顔を見て気づいた。
「逃げるのは終わりだ。桃香会う」
「よろしいので? よろしければお考えをお聞かせ願えませんか」
冥琳は確認するように正宗の表情を窺った。彼女は正宗が何か策を思いついたと考え、内容次第では正宗の策に乗ることしたのだろう。
「桃香の目的は検討がついている。なら、奴等の要求は聞いてやる。ただし条件つきでだ。それに桃香に部将を貸すつもりはない。臨穎県の主だった賊を討伐してしまえばいい。一県に巣食う賊程度なら私の兵が分担して討伐にあたれば半月程度で終わるだろう。残りは劉備の部下でも相手がつとまるだろう」
「劉備の部下というと士君義ですか?」
冥琳が指摘すると正宗は頷いた。
「劉備の部下が士君義だけとは限らないが、あの女なら小勢の賊相手なら遅れることはないだろう」
正宗の言葉に冥琳は頷いた。麗羽も士仁の戦いぶりを見ていたので正宗の意見に納得している様子だった。
「正宗様、それで条件とはなんですの?」
麗羽は正宗に質問してきた。
「桃香と一緒に旅をしていた愛紗が彼女の元を出奔したらしい。桃香に愛紗
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