プロローグ
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ものか?」
まるで慌てず、そのままシートに座ったままタケルは座席に深く腰掛ける。軽く調べたがシートベルトは外れそうに無い。
おそらく、そういう試験。
これで無事ならば合格。死亡するならむしろいらない。
――さて、どうするか?
と、考えるまでもないことだ。
今の俺はスーツを着込んでいる。このまま車の爆発に巻き込まれてもいい。シートベルトを強引に引きちぎっても構わない。
どちらでも構わないが、どうやら時間切れ。
そのまま壁に激突した。
瞬間――爆発。
「これは助かりませんね」
呟く少女の声が耳に、なぜか鮮明に届いた。
「これでいいのか?」
炎の中、まるで無傷に現れた俺の姿に「うそ」と呟く少女達の反応が、笑みを誘う。
「ああ……コズモエテレンケイアにようこそ」
驚きもせずに淡々としているフェイトの姿がまた印象的でもあった。
「……」
なんとなしに空を見上げた。
いくつも浮かんでいたはずの雲が、いつの間にかその姿を消し、恥ずかしがり屋な夜の空を全てさらけ出していた。
輝く月がいつになく風流に微笑んでいる。
煌く星がかつてなく元気に光っている。
流れる風がどこからともなく木々の匂いを運んでいる。
まだ見ぬ景色が、ここにはあった。
「これから宜しく、タケル」
「宜しく、フェイト」
あくまでも無表情なフェイトはつい笑ってしまう。
俺の明日も
まだ
終わらない。
END
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