第十九話 人を巻き込め
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紅緒ちゃん。紅緒ちゃんが走るのダメっての、今日でよく分かりましたんで、次からは誘いませーん。もう少し速い人とジョギングしーよっと。」
これでもかと煽り、倒れこんでいる紅緒を放ったらかして権城はスタスタと寮へと戻っていく。
その背後で紅緒が色々と悪態をついているが、権城は振り返りもしなかった。
「……無茶をするなぁ、君は。ちょっと呆れた。」
学校の中庭を歩いていると、物陰から紗理奈が声をかけてきた。紗理奈は苦笑いしている。
権城は得意げにニンマリした。
「ここまで煽ってやれば、紅緒ちゃんも自分の体力の無さにいい加減気づくでしょ?ちょっとはトレーニング、やろうって気になるんじゃないですか?」
「それはどうかなー。プライド高い娘だし、惨め過ぎて余計に走らなくなるかも。」
「いや、それは無いですよ。あの人、良くも悪くも負けん気にだけは正直なんで。これだけバカにされてそのまま終わるはずはないですよ。そこは俺、あの人信用してますから。で、あの人がヤル気になればみんなヤル気になりますよ。あの人は大将だから。」
権城は自信たっぷりな顔をしていた。
チームを変えるには、まずその中心から。
多少強引だが、この働きかけに自信を持っていた。紅緒自身に何て思われるかは分からないが、「勇者チャレンジ」の内容が多少酷くなるくらいで済むなら、甲子園の夢の方をとる。
「だといいね」
紗理奈はまた、苦笑いした。
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