エピローグ
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学生達に告白の名所として知られる世界樹広場の大階段で、2人の男女が向かい合っていた。階段の最上段にはエヴァンジェリン、茶々ゼロ。それに刹那、木乃香といったデバガメ達が2人の様子を見つめている。
男は普段から愛用している詰襟型の学ランを着用。対する女はまるでどこぞの忍びのような衣装で身を包んでいる。
月の光が雲の隙間から差し込み、彼等の赤い顔をさらに鮮明に照らしあげる。
小さな風が吹いた。
背後にそびえる大きな樹が立派に茂らせた葉をさざめかせる。気持ちよい自然の音色が緊張を高めていく。
180cm以上の身長を誇るその女性徒は、階段を数段下がることによって自身よりも10cm以上低い少年の頭の位置を平等に保たせていた。
「「……」」
台詞もなしに徐々に近づくお互いの顔。彼と彼女に言葉は必要なく、ただ唇を求めようとしていた。
少年が少女の肩に手をかけた。
まるでそれを合図にしたかのように、少女は両手を自分の胸の前で組み合わせ、乙女らしく目を閉じる。
「……楓」
呟いた名が風に乗り、空に舞う。大きく木々が揺らぎ、お互いの唇が――
一際、大きな風が吹いた。
タケルは、生きていた。
銃撃を食らう直前、楓によって助け出され、すぐさま木乃香の治療に駆けられたことが功を奏した。それにより僅かながらに寿命が延びた彼の体は、どうにか転送に間に合ったのだった。
自室にて目を覚ました彼が最初に行ったのは自分の確認。
あれほど何回も生存を諦めた自身がこうして生きているのだ。暫しの間、彼が自分を信じられなかったのも仕方のないことだろう。
鏡を見ながら頬を引っ張り、つねり、はたく。そうして生き延びたこと実感した彼がまず驚いたのはミニの黒球に表示されていた点数。
実に252点。今回のミッションが始まるまでは確か75点程度だったので、150点ほど加算された計算になる。
にもかかわらず、特典は最後と記された『新兵器』のみ。つまり、152点ほどは完全に必要ないことになる。まぁ、人を生き返られる特典があっても困るだけだろうし、ガンツから抜け出す機能があっても、どの世界に戻されるかがわからなくて使いづらい。
ということで、とりあえずは新兵器をガンツに頼み、送られてきたソレにタケルが唖然としていた時だった。
彼の部屋に、今度はドタドタと何人もの人間が部屋になだれ込んできた。
「タケル殿!!」
「タケル先生!」
「タケル先輩ー!」
「タケル!」
上から順に……いや、あえて名を挙げるまでもない。
ともかく、タケルはこうして運よく生き残ったのだった。
お互いに顔を真っ赤にさせて距
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