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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
王と女王 D
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イロンが樹にぶつかって止まったところで拳を下ろす。
「・・・さて、音央が本心話してくれたんだ。俺も少しは、本気を出さねえとな。・・・我、第六十三代鬼道の名のもとに、汝の封印を解く。・・・出てこいよ、歪み。話がある。」
「ワシをそのような十把ひとがけらの呼び方で呼ぶでない。』
「なら、名前があるってのか?」
「無いのう。どれ、何か付けてはくれんか?』
そう言いながら現れたのは、一輝に無形物を統べるものを与えた歪みだ。
自ら契約によって一輝に封印されただけあって、とても友好的だ。
「なら、俺はお前をスィミと呼ぶことにする。」
「うむ、何でもよい。で、何ようじゃ?』
「力をよこせ。・・・中途半端に封印されてたせいで崩れた契約を、今ここでやり直す。」
無形物を統べるものは、星夜によって封印されていた。その封印は二人の間に交わされていた契約を崩し、その力を部分的に封じるもの。だからこそ、その封印が解けた瞬間にギフトは一輝の制御から少し外れたのだ。
「よかろう。ワシは一輝に何も望まん。先ほどの覚悟、それに敬意をしょうする。おんしは何を望む?』
「俺は力を望む。『無形物を統べるもの』。これを完全な状態で、俺によこせ。」
「傲慢なやつだ!よかろう!ワシの力、望みのために使うがよい!』
歪み・・・スィミはそう言いながら再び一輝に封印され、新たな契約をもって一輝にギフトを与える。
そうしてより強力なギフトを手に入れ、上がった霊格を隠すこともしないでオベイロンに一歩近づくと、オベイロンは同じだけ後ろに下がろうとし・・・背に樹があることからそれができず、さらに焦り出す。
「い、いやだ!私はまだ、死にたくないんだ!」
「知るかよ、そんなこと。」
「私はオベイロンだぞ!?北欧の神話体系に名を連ねる、生粋の!」
「どうでもいいね、そんなこと。魔王を殺して誰かに目をつけられるなら、そいつらも全員殺すだけだ。」
実を言えばこのオベイロン、北欧の神話体系に多少関わりがあるだけで、これが殺されたからと言って大本が動くほどの立場ではない。
タイターニアを求めたことからも分かるように、北欧神話側のオベイロンではなくシェイクスピアの作品、夏の夜の夢のオベイロンなのだ。
「俺はお前が死にたく無かろうが、何であろうが、そんなことは関係ないんだよ。俺はお前がむかつくから殺す。お前に反吐が出るから殺す。お前が生きているということが不快だから殺す。お前がお前だから殺す。そこに変更の余地は、存在しない。」
そして、一輝はそう言いながら手を横に伸ばし、
「疑似創星図、起動。」
そこに翠色の鎌・・・スィミを完全に自らの力として所有権の移行したそれを、過去とは比べ物にならないレベルで発動する。
「何だそれは!そんなの
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