6話:名探偵毛利小五郎の憂鬱
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れば今のようなことになるのは仕方ない。
「いえ、悪いのは私のほうです。水晶が取り合げられたとはいえ、善悪の判断もせずに刺そうとするなんて・・・」
水晶?何か大切なものなのだろうか。
「私は稲田瑞穂です。名簿に載っています」
そう言って広げた紙の一点を指差し、見せてくる瑞穂。
「稲田さんか。俺はなんと、あの名探偵毛利小五郎だ!」
声を張り上げて高らかに名乗りを上げる小五郎。実は硬い表情をしている瑞穂の緊張を解き、また肩書き付きで名乗ることにより、自分のネームバリューを利用して安心させるという狙いがあったのだが・・・。
「・・・はい?」
瑞穂は首をかしげて変な人を見るような顔でこちらを見るだけだった。頭にはハテナが浮かんでいる。
その反応を見て毛利小五郎は考える。あんまりニュースを見ない子なのか、いやそれにしたっておかしい。自分はニュースで名前が呼ばれたりインタビューされるだけではなく、バラエティなどにもちょくちょく出ているし新聞の一面を飾る事だって少なくない。それにいくら情報に疎くても、自分の知名度の高さ的に考えてこの年頃の子が小五郎のことを知らないとは考えにくい。
ならば。
「知らないのか?あの怪盗キッドを追い詰めた名探偵だ!」
怪盗キッドの名を出した。毛利小五郎は知らなくても、世界中の女子の人気を集めている怪盗キッドを知らないはずがない。
「・・・怪盗キッド?追い詰めた?さっきから何を言っているのですか?」
「まさか、本当に知らないのか?日本で知らないヤツはいないはずなのに。いや、ひょっとして外国育ちか?」
すると瑞穂は呆れたように小五郎を睨む。
「そんなわけがないでしょう。大東亜共和国の悪徳政府が外国への移住を許すわけがありません。さっきからなんなのですか。この聖剣で斬れなかったところを見ると悪ではないようですが、まるで漫画のようなことを―――」
「いや待て」
小五郎は瑞穂の話からおかしな所を見つけていた。
大東亜共和国。悪徳政府。聖剣。悪。
徐々にわけがわからなくなってきた。
「あのお、稲田さん。大東亜共和国とは?」
とりあえず一番話が通じそうなところから聞いてみた。
◆
「なるほど、とりあえずその毛利探偵事務所とやらに行けばいいのですね。一緒に行きましょう」
一度廃校まで戻り、そこで情報交換を終えた二人。互いに対主催であり、殺し合いに乗る気はないので同行するのは自然な流れだった。
瑞穂は手応えのようなものを感じているようだが、小五郎は大きな疲弊感しか感じていなかった。
結論から言うと稲田瑞穂は電波、あるいは狂人とでも言うべき者だった。
数々の殺人犯を見てきた小五郎だが、その中にもこれほどの人間はいなかった。
彼女の言動を軽く纏めると、
@彼女の真
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