しん・最終話「ネギまとガンツと俺」
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間に合わない。
距離はまだ20M以上は離れている。コンマ2秒はかかる距離だ。
デカブツがタケルに銃をぶち込むのにコンマ1秒でもあれば十分だろう。
そして。
「くっ!」
私の目の前で。
無情な火が吹いた。
巨大ロボの銃口が火を噴いた。
それと正に同時、だろうか。
「「「へ?」」」
そんな間抜けな声が3つ。
撃たれようとしていた本人。傍観するしか出来ない者。助けようとする者。
場所も立場も違った3者の声。
それが同時。空気が抜けるように漏れていた。
そして次の音も、言葉は違えどタイミングは見事には同時だった。
「か……え゛で?」
「か……え……で?」
「長……瀬……楓?」
銃口が火を噴いた瞬間。
木乃香が叫んだ瞬間。
エヴァがタケルまであと1Mにまで到達した瞬間。
楓がタケルを拾い上げていた。
「タケル殿、大丈夫では……ござらんな」
「ま……だ」
――油断するな。このまま真っ直ぐ下がっては危険だ。蜂の巣にされる。
そんな山ほどに言いたい言葉を、だが満足に呼吸も許されない体では伝えることが出来ない。そんなタケルの心境を読み取ったのか、楓は微笑み「大丈夫、ほら」
タケルに少しでも衝撃を与えないように悠々とロボ星人から離れていく。
――何が大丈夫なんだ?
首を向けてその顔が驚きに染まった。
エヴァンジェリンがロボ星人の気を引いてくれている。いや、確かに彼女がロボに攻撃する様はタケルもしっかりと目に焼き付けていたが、それでもここまで明確に助けてくれるとは彼自身思っていなかった。確かに、エヴァンジェリンが盾になってくれるというのなら、これほど安心できることはないだろう。
――にしても、柔らかい……温かい。
穴が開いた腹、千切れ去った右腕と右足。そこから流れ出た多量の血。それにより青くなる顔、低下する体温、混濁する意識。
あとどれほどで尽きる命だろうか。今、意識をもって生きていることそれ自体が奇跡に近い。
こんな時に、いや、こんな時だからだろうか。
混濁する意識は、ミッションのことをこの一瞬だけタケルの頭から消失させて、ただ楓に抱かれているという事実を突きつける。
それがほんのりと。タケルの胸を温かくさせていた。
――温かい。
俺を運んでくれる想い人。
その顔は美しく、まるで女神。
見とれていた。
その風格は凛と、まるで女王。
見惚れていた。
「とりあえずはこのか殿に治療を」
その声は郷で、まるで母。
聞きほれていた。
「……タケ
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