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ネギまとガンツと俺
しん・最終話「ネギまとガンツと俺」
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私がいる。

 だが、ただ。

 心のどこかではそれで当然だといえる気がしていた。

 きっとあいつは同じだから、かもしれない。

 最初は人間だと思っていたあいつ。だが、つい最近それも事実か怪しくなった。もしかしたらタケルは私や刹那と同じように迫害され続けてきた種族なのかもしれない。だから私は……いや、少し違う。
 例え奴が本当に人間だとして。それでもこうやって死なせまいとする自分は変わらないだろう。

 かもし出す風格、血の匂い、殺気の程度。

 どれも15年程度生きてきただけでは不可能なはずのレベルにまで、奴は達していた。それまでにどれほどの苦難を経てきたかは想像すら出来ない。だから……いや、これも違う。

 例え奴がどんな過去を歩んできたとして、それもあまり関係ないだろう。

 ――つまり。

 そう、私が。

 真祖の吸血鬼たるこのEvangeline A K. McDowellが。

 ――つまるところ、奴の存在を気に入っているからだ。

 本当に不思議な奴だと思う。

 この私の存在を知り、それでも大して恐れようともせず普通の会話を対等に交わす。本当に珍しい。長い記憶でも、そんな人物はほとんどいない。現代にまで至るとほとんど0人だ。

 一番若い人間でタカミチだが、それも15年前に同級生だったことと何よりもタカミチ自身が特殊な境遇に育っていたことのほうが大きい。

 最近では神楽坂明日菜もそうかもしれないが、あれは単に私の存在をきちんと理解できていないといったほうが正しいだろう。まぁ、理解できても変わらんかもしれんが……馬鹿なだけに。

 ともかく、タケルはきっちりと理解したうえで、まるで友人のように振舞う。それがむず痒く、また、認めたくはないが少し楽しい。

 ぼーやや刹那たちもある程度気に入ってはいるが、それも友人としてではない。

 もしも今回生き延びられたとしてもタケルが死ぬということは知っている。他の誰からでもない、本人から聞いたことだ。

 それなのになぜ、今助けようとしているのか。

 それは単純な理由だ。

 あいつは勝手に消えると言い出した。この私に何の相談もせずに、ただこうなったという報告だけだ。

 それを、許さない。

 だから、一言。

「……文句を言ってやる」

 そう、それまではタケルを殺させるわけにはいかない。

 パッと思いついただけの言葉だったがまるで今の自分の気分にぴったりで、少し可笑しい。と思ったが今はそれどころではない。

 無詠唱やキーだけで発動できる呪文では足止めにすらならない。ならばせめてタケルを捕まえて移動させる。

 闇の空に身を翻す。

 だが。

「……っ」 

 
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