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ネギまとガンツと俺
しん・最終話「ネギまとガンツと俺」
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生にここを任されているのだから。

 取り乱してはいけない。

 今はただ。

 お嬢様を守る一振りの刃でいよう。

 ――だから、落ち着くんだ、私。
 



 頭を振り、自分に言い聞かせて落ち着く刹那に木乃香が泣きべそをかきながら言う。

「せっちゃ……せっちゃん……うっ……ぐす……はやく助けに……ひぐ」

 船の端まで辿り着まで辿り着いた彼女だったが、言葉も途切れ途切れに崩れ落ちた。今、彼女達は上空百Mの位置にいる。結局はその高さに、一人では降りることが出来ないと思い知らされたのだろう。

「姐さん」

 カモが気まずそうに顔をそらし、刹那もかける言葉が見当たらず、目の前のバケモノに意識を集中させることしか出来ない。

「誰か……誰か先輩を……助けて」

「「……」」

 木乃香の言葉に誰も返事を返すことが出来ない。

 木乃香が見ているタケルの視界には一体何が映っているのか。

「助けてやぁぁーーー!!」

 彼女の悲痛な叫びが、空に木霊する。




「――マズイ」

 ――なぜ本気にならん!!

 心の中で叫ぶが、それは今更意味のないもの。

 いつの間にか死に掛けているタケルに毒づき、自分の柄にもなく本気で空を飛び急降下する。

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック」

 呪文を紡いでいる暇はない。発動キーのみで、威力は劣るが少しでも気を引かせるためには仕方ない。

「闇の吹雪」

 おそらく、魔法の素養がないであろうタケルには理解できないであろう呪文を発動する。

 闇をもたらす氷の嵐が私の手で合成され、それをそのままあのデカブツの背中に放つ。

 一直線に放たれた魔法がぶつかるかと思われた直前、なぜか魔法は方向が捻じ曲がり、真っ逆さまに地面へと落下し、そのまま大地に直撃した。

 デカブツは一瞬だけ動きを止めたが、意に介した様子もなくそのままタケルに銃口を突きつける。

「こ……のっ!」

 この私へのゾンザイな態度に腹が立つ。

 今度は完全な無詠唱呪文。

「魔法の射手 連弾 闇の59矢」

 次々へ飛び交う弾が、デカブツに飛び掛るがそれでもそれら全てがやはり結局は大地に堕ちて効果をなさない。

 呪文の詠唱をする間があるならば、あの見えない魔法障壁らしき壁も破壊できる自信はあるのだが、如何せん今は時間がない。

「……タケル!」

 別に奴を好きだとか、そんな浮ついた感情をもった覚えはない。そもそもああいう根暗そうな男は私のタイプとはむしろ正反対だ。だからこれから先もそんな感情を抱くことはないだろう。

 ならばなぜ、こんなにも必死になっている自分がいるのか。自答しても首を傾げてしまう
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