暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第二話 メッキの王冠
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
浮かべるルイズ。
 ころころと変わる表情に苦笑いを笑みに変える士郎。

「巨大な力は危険を呼び込むものだ。伝説と謳われる程のものなら尚更だ」

 士郎の言葉にルイズはあっ、と声を上げる。

「だから……言わなかったの」
「いつかは分かることだったからな」
「はぁ……色々文句言いたいけど……まずは」
「ん? まずは?」

 ルイズは顔を俯かせながらベッドから立ち上がると、士郎の顔に杖を突きつけた。

「一発殴らせて」
「は?」
「エオルー・スーヌ・フィル……」
「ちょっ――」

 殴らせてと言いながら、呪文を唱え始めたルイズに慌てる士郎。

「ヤルンサクサ……」

 慌ててルイズの詠唱を止めようとするが、士郎の制止の手に気付いたルイズが、詠唱の途中で杖が振るう。杖が振るわれると士郎の足元が突然爆発し、そのため制止のためルイズに向かっていた士郎の体のバランスが崩れ、そのままルイズに向かって倒れ始めた。慌てて踏ん張るも崩れたバランスは容易には戻らず、士郎の手がルイズの肩に触れる。
 触れた力は、ルイズでも耐えられる程弱かったが、ルイズは逆らうことなくベッドに倒れこんでいく……士郎と一緒に。

「つ……すまん大丈夫か! おい?」
「ん……え? ぁ……」

 一緒にベッドに倒れたルイズに声を掛けるも、全く反応がなく焦った士郎が、ルイズの肩に手を掛け揺さぶると、ルイズはすぐにパチリと目を開いた。
 目を開けたルイズは、目の前にいる士郎に疑問の声を上げ、次に士郎に押し倒されていることに気付き顔を真っ赤にさせると同時に小さく声を上げた。
 
「し、シロウ……」

 顔を覗き込んでくる士郎に対し、ルイズはゆっくりと目を閉じ始める……がいつまでたっても何も起こらず、焦れたルイズがゆっくりと目を開けると、ベッドから立ち上がった士郎が心配気な顔でルイズを見下ろしていた。

「むぅ〜……シロウ」
「大丈夫か?」
「はぁ……大丈夫よ馬鹿」
「? いきなり馬鹿は酷いな」

 いきなりの暴言に目を白黒させる士郎だが、すぐに真剣な顔になるとルイズに問いただした。

「しかし、本当に大丈夫か? 何だが様子がおかしかったが?」

 心配気に顔を覗き込んでくる士郎に、まだまだ赤らんでいる顔を左右に振る。 

「うん大丈夫……多分精神力が足りなかったんだと思うの」
「ああ。まあ確かに戦艦を落とすのに、かなりの精神力を使っただろうからな」
「そうなのよね……ん? 魔法は精神力を使うって知っているの?」
「まあな、色々と自分で調べていたからな」

 ベッドの上で座リ込むルイズの頭を撫でながら、ルイズに士郎は膝を曲げ視線を合わせる。

「あれだけの威力のある魔法なら、一晩二晩寝ただけでは再度唱えられ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ