第四章 誓約の水精霊
第二話 メッキの王冠
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露店で足を止めた。
ルイズが足を止めた露店は、宝石商のお店だった。
ルイズは指輪やネックレス、色々な装飾品が並べられている様子を眺めている。
やたらと熱心に商品を眺めているルイズに、頭にターバンを巻いた商人がもみ手をしながら声を掛けてきた。
「おおっ! なんと貴族のお嬢様がいらっしゃるとは、どうぞご覧下さい。どれもこれも『錬金』で作られたまがい物ではなく、天然の石ですぞ」
並んでいる装飾品は、どれもゴテゴテとしていたが、ルイズはその内の一つ、貝殻を彫って作られた真っ白なペンダントを手に取った。
ペンダントは周りに大きな宝石が嵌め込まれてはいるが、どれも質の悪い水晶であり、造りも簡単なものであった。しかし、ルイズは、そんな安っぽいペンダントを物欲しげに見つめている。
そんなルイズの姿に、士郎は先程アンリエッタから渡された袋をズボンから取り出すと、商人に尋ねた。
「いくらになる」
「今ならばサービスで四エキューとなります」
「なっ!? たか――」
商人がニッコリと笑いながら言い、ルイズが驚き声を上げようとしたが、その直前、士郎は袋から一円玉ぐらいの大きさの金貨を四枚取り出し、それを商人に手渡した。
「ありがとうございました」
商人と士郎のやり取りを驚きながら見ていたルイズが我に返ると、頬を染めながらお礼を言った。
「あっ、ありがとうシロウ……大切にするね」
士郎に向かって頭を下げたまま、顔を上げないルイズに口の端だけ笑みを浮かばせた士郎は、ルイズの手からペンダントを取り上げると、優しくルイズの髪をかきあげ、首にペンダントを巻いてやる。
「……んっ……ぁ……」
突然の出来事に、まるでびっくりして硬直した猫のようになったルイズは、士郎がペンダントを首に巻く際、士郎の手が首に触れる度に、何かを耐えるような声を漏らす。
「どうだ?」
「あ……その、あの……ありがとう」
巻き終わった士郎がルイズに着け心地を聞くと、ルイズは首まで真っ赤にした顔で士郎を見上げると、はにかんだ笑みを向けた。
「ん、いや。どういたしまして」
ルイズの笑みに照れた士郎は、何とはなしに視線を隣の露店に移動させると、その露店の一画に思いがけないものを見付け驚いた。
「シロウどうしたの?」
視線を逸らしたまま戻さない士郎の様子に、ルイズが訝しげな顔をしながら聞くと、士郎は慌ててルイズに振り返った。
「いや、ちょっと珍しいものを見つけてな……ちょっとあそこによって見てもいいか?」
士郎が隣りの露店を指差す。士郎が示す指の先を確認したルイズが小首を傾げる。
「あそこって服? でもそれってアルビオン軍が着ていた中古でしょ? お金たくさん持っているんだ
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