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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第二話 メッキの王冠
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いるのか、ウェールズはにこやかに笑い頷く。
 
 ロウソク一本の灯りが、豪奢な部屋の中を小さく照らす中、まるで劇をしている様な二人の姿を、シェフィールドは口元を歪め眺めている……この……人形劇を……。

 


 

 

 王の仕事はと問われれば、いくつもあるが。その内の一つに接待というものがある。
 戴冠式を終え、女王となったアンリエッタは、国の内外を問わず、様々な相手の接待を行うようになった。ただのご機嫌伺いの相手から、トリステインの未来のために直接交渉に来る者等、本当に様々だ。
 特に今は戦時ということから、アンリエッタは朝も夜も関係無く誰かと顔を合わせていた。
 女王に就いたばかりとはいえ、舐められるわけもいかず。マザリーニが補佐をしていたとはいえ、疲労は確実に溜まっていく。
 しかし、今から来る相手に対してだけは、女王である必要はない。女王ではなく、アンリエッタとして迎える客なのだからだ。


 部屋の外から、客の到来を告げる声がする。
 入室の許可を出すと、扉が開き待ちかねた相手が入ってくる。
 魔法学院の制服を着たルイズが、閉じた扉の前で頭を下げる。その横には士郎が同じく頭を下げていた。

「ルイズッ!」

 ルイズが頭を上げるより先に、アンリエッタは駆け出し、ルイズに抱きついた。頬をルイズの顔に押し付け、強く強く抱きしめる。

「ひ、姫さま……あっ……もう、陛下とお呼びしませ――」
「ルイズ」

 アンリエッタに抱きつかれ、目を白黒していたルイズがアンリエッタのどう呼べばいいかと迷っていると、アンリエッタの悲しげな様子に声を詰まらせた。
 
「あなたまでそのように言うようになれば……わたくしは一人になってしまいます。ですのでルイズ。ルイズ・フランソワーズ……お願いですから、わたくしから最愛のお友達を取り上げないで……」
「……ふふ。分かりました姫さま。ならこれからもいつものようにお呼びいたしますわ」
「ふふ、そうしてくださいな。……本当に王になんてなるものではないわ……」
「……姫さま」

 望まない結婚を前に、萎れた花のようだったアンリエッタだったが、結婚がご破産になった今でも、萎れたままだ。いや……顔色が悪く、さらに萎れているように見えた。
 そんなアンリエッタの様子に、ルイズは声も出ないといった様子だ。
 しばらく無言で、ルイズはアンリエッタを抱きしめていた。

 ルイズの下に、アンリエッタからの使者がやって来たのは、今朝のことであった。女王からの呼び出しということから、二人は授業を休み、アンリエッタが用意した馬車に乗りここまでやって来た。
 馬車の中では、士郎と二人っきりであったが、ルイズは突然のアンリエッタの呼び出しの理由を考えていたため、おかげで気
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