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戦国異伝
第百七十二話 戦を振り返りその九
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い、それでは」
「兵を雇い具足も鉄砲も揃えましょう」
「今以上に」
「わしはこのことを忘れぬ」
 決してだとだ、家康はしみじみとした口調でも述べた。
「織田殿が武田家を退けてくれてな」
「ですな。家を立てなおす金も下さいました」
「有り難いことに」
「義には応えねばならぬ」
 家康は持ち前の律儀さも出した。
「では立て直した後ではな」
「はい、織田殿の為に」
「頑張りましょうぞ」
「そうするとしよう。まずはな」
 とりあえずはだった、今の徳川家は。
 兵をまた雇うことからだった、それからだった。
 徳川家は力を取り戻し織田家に応えることにした、信長はその話を加賀に向かう途中で聞いた、そのうえでこう言った。
「ははは、よいわ」
「よいとは」
「どういうことでしょうか」
「礼に思うことはないわ」
 家康がだ、彼にそう思うことはというのだ。
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