第十七話 最後の少女その九
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「やってくれるわ」
「そうなの」
「見て」
鈴蘭がこう言った瞬間にだ、薊は。
その棒をだ、自分の足払いをかわした怪人、真上に跳んで攻撃を中断させたその彼の腹にだ。思いきり突き出した。
それで腹を打った、しかもそのうえで。
棒に炎を込めていた、怪人を炎のダメージも襲った。
そしてだ、それに加えて。
薊は怪人の腹を打ち突き刺さった形になっている棒から一旦手を放し起き上がりまだ宙にいる怪人にまずは右の回し蹴りを放った、その右足にも炎をまとわせて力でもダメージを与える。
だが薊はそれで終わらなかった、さらに。
今度は左の回し蹴りを放った、その連続攻撃の後は。
まだ怪人の腹に刺さった棒をだ、両手に持ちなおして。
今度は胸を突いた、間髪入れずにここまでの連続攻撃を受けてだった。
怪人は完全に動きを止めた、その背にドゥーベの符号が出た。薊はその己の符号を見て会心の笑みを浮かべて言った。
「あたしの勝ちだね」
「くっ、まさかな」
「さっきの足払いが囮だったとは思わなかっただろ」
「そこからだったのだな」
「そうさ、一気にな」
まさにというのだ。
「攻める為のものだったんだよ」
「今の様にか」
「あんた植物だしな」
芭蕉のだ、そこからも言う薊だった。
「炎も効くしな」
「それも考えてか」
「一気にだよ」
まさにだ、先程の様にというのだ。
「攻めたんだよ」
「その為に足払いで俺を跳ばしてか」
「そういうことさ」
まさにというのだ。
「そこからだったんだよ」
「考えたものだな」
「闘いってのは頭だろ」
薊は笑ってこう怪人に返した。
「そうだろ」
「確かにな」
「だからだよ、まずはな」
相手に足払いを仕掛けてあえて跳ばして隙を作らせたというのだ。
「そうしたんだよ」
「わかった、ではだ」
「あんたも消えるんだな」
「そうなる、これでな」
「いつも思うんだけれど怖くないんだな」
「怖いだと」
次第に灰になる中でだ、怪人は薊に言葉を返した。
「恐怖をいう感情か」
「ああ、そういうのはないのかよ」
「ない」
一言でだ、怪人は薊の問いに答えた。
「そうした感情はな」
「やっぱりそうか」
「そうした感情は最初から存在していない」
「だから死ぬこともか」
「恐れはしない、我等は戦うことも死ぬことも恐れはしない」
「成程な」
「ではだ」
ここまで話してだ、怪人は。
その身体を完全に灰にさせた、そしてだった。
完全に消えた、灰は風が吹くと散り何処にもなくなった。薊は怪人の灰が消え去るまで見届けた。そうしてだった。
一部始終を見ていた鈴蘭にだ、微笑んで言った。
「こんな感じだよ」
「見せてもらったわ、貴女の闘いを」
「どんな感
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