第三幕その三
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「いい方が来てくれると思うのですが」
「そうなのですか」
「絶対に」
加藤さんは先生のお顔を見ながら言うのでした。
「私はそう見ます」
「この外見でもですか」
「確かに外見は重要な要素ですが」
「それでもというのですね」
「要素の一つでしかありません」
それに過ぎないというのです。
「そこで全て判断する様な人はです」
「最初からというのですね」
「はい、結婚すべきではありません」
こう先生に言うのでした。
「交際することも止めた方がいいです」
「人は顔ではないというのですね」
「人は中身です」
つまりです、性格だというのです。
「ですから」
「僕には心のよい方がですか」
「来てくれる筈です」
「もういい歳ですが」
「年齢もです」
このことについてもお話する加藤さんでした。加藤さんも先生に対してかなり親身になっています。お会いしてまだ二日ですが先生には人にそうさせるものがあるみたいです。
「それも要素ですが」
「それでもですか」
「その一つに過ぎず」
「やはり最も大事なものは」
「性格です」
それだとです、また言う加藤さんでした。
「先生のそのご性格を見られる方は必ず前に現れます」
「その時にですね」
「そうです、私はそう思います」
「そうであればいいですね」
「ご安心下さい、先生は嫌われる方ではありません」
このことは動物の皆も言っています、実際に彼等だけでなくトミーや王子、それに学生さん達も先生を好きで慕っています。
「女の人にもですよ」
「何か随分と加藤さんに親身になって頂いていますね」
「どうもです、先生と一緒にいますと」
言わずにはいらrないというのです。
「ですから。ところで」
「ところで?」
「このお料理はどうでしょうか」
加藤さんは今食べているそのお料理についてもです、先生に尋ねるのでした。
「これは」
「確かこれが」
「はい、蛸飯です」
それだというのです。
「昨夜お話していた」
「あれですね」
「そうです、蛸飯といいまして」
見れば中に蛸が入っています。それとおうどんというセットです。
「これもまた松山名物でして」
「昨夜の松前寿司と同じく」
「そうです、これもまた絶品です」
加藤さんは先生ににこりとしてお話するのでした、その蛸飯のことも。
「蛸と御飯をです」
「お醤油ですね
「その出汁で煮込んだものです」
それが蛸飯だというのです。
「イギリスでは蛸は食べないと思いますが」
「はい、烏賊もです」
「そちらもですね」
「そうしたものは食べません」
実際にです、先生はイギリスにおられた時そうしたものを食べたことは全くありませんでした。お魚もです。
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