魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇2
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し次はメシだよ! ほら、早く早く!」
「分かった。分かったから揺さぶるな」
どうやら俺の周りには食欲のスライム候補が多いらしい。あるいはハーピーかもしれないが。朝から体力を奪われた気がして、のろのろと寝床――代わりのソファから起き上がる。まぁ、魔物化される前に手を打っておくのが正解だろう。そんな事を考えながら料理を作っているうちに――妙な違和感などすっかり忘れてしまっていた。
そして翌日。元より旅には慣れていた俺は言うに及ばず、今一つ物欲に乏しいフェイトも荷づくりには大して困りはしなかった。強いて言うなら、アルフがドッグフードを持ち込みそうになり、それを止めた事くらいか。
今日の予定としては、まず旅館のある山の麓までバスで移動し、そこから先はジュエルシードの捜索ついでに森の中を旅館まで飛ぶ事になっている。荷物が少ないというのは、むしろ好都合だった。
「いや〜、いいところだねえ! アタシゃ気にいったよ!」
木々の隙間を縫うように飛び――いや、駆け抜けながら狼の姿となったアルフが上機嫌に言った。彼女にとっては自然の多いこの場所の方が居心地がいいのかもしれない。
(いや、俺も人の事は言えないか……)
かつての自分がいた世界とこの世界では文明差がありすぎる。この身体に宿ってからもう一〇年ほどになるが――未だに機械には慣れなかった。それでも必要に駆られ、調理機器くらいはどうにか使えるようになったが。
とはいえ、やはりこちらの方が馴染みがある。遥か昔――不死の怪物どころか魔法使いですらなかった頃、山中の隠れ里で猟師やら樵やら薬師やらの真似事をしながら生きていたせいかもしれないが。
(あの頃は、できるだけ多くの事をしなけりゃならなかったしな)
遥か昔、『マーリン』に蹂躙された世界……滅んだ世界での話だ。動物を取り、木材を切り出し、見かけた薬草を採取する。女子どもも合わせて一〇〇人いるかどうかだったあの隠れ里では、それぞれができる限りの事をしなければ生きていけなかった。特に、若い男など自分以外にそう何人もいた訳ではないのだから。
「あ、そろそろ建物が近づいたみたい」
曖昧な思い出に浸っていると、フェイトの声がした。慌てて速度を落とす。旅館に近づいたという事は、誰かに見られる可能性があるという事だ。面倒事は避けるに限る。
「何か地味だねぇ……」
「……趣があるって言うらしいぞ」
旅館を見上げ呟いたアルフに、一応釘を刺しておく。彼女達の隠れ家に比べれば地味かもしれないが。
(だが、こっちの方が落ち着くな……)
というのは、この身体の影響なのかもしれないが。
「それじゃ、早く手続きを済ませようか。明るいうちに周りを見ておきたいし」
「そうだな。アルフ、まかせた」
フェイトの言葉に頷き、アルフを促す。何せフェイトは言う
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