A's編
第三十二話 後
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ていた。
「わたしの………私たちのすべてはまだ始まってもなかったのかな? バルディッシュ………」
そんなフェイトちゃんからの問いかけるような、そんな言葉にそのアクセサリー―――ここまでくればわかる。それはフェイトちゃんのデバイスだったのだろう。それは主からの問いに簡潔に答えた。
―――Get set.
「………バルディッシュ」
自分のデバイスの言葉を聞いたからか、だんだんとフェイトちゃんの瞳に光が戻ってきた。
「私は………ここから始めていいのかな?」
「違うよ、フェイト。始めていいんじゃない。始めるべきなんだよ。ずっと一緒にいてくれた人がいて、隣に支えてくれる人がいて………一人で始めるのは怖いかもしれない。でも、今なら、フェイトを支えてくれる、見守ってくれる人がいる。今、始めなくて、いつ、始めるの?」
だから―――、そのあとの言葉はアリシアちゃんが口にしなくてもフェイトちゃんはわかっていたようだった。
うん、と大きくうなずくとバルディッシュを持った手とは逆の手で僕の手を握り返してくれた。そのまま、僕は彼女の手を引っ張って、一緒に立ち上がらせる。
立ち上がったフェイトちゃんは、やっぱりアリシアちゃんと瓜二つで、並んでしまえば、どちらがどちらか見分けはつかないほどにそっくりだった。もっとも、話してさえしてしまえば、彼女たちが纏う雰囲気はまったく違うため判断できるのだが。
ほんわかと柔らかい雰囲気なのがアリシアちゃん。少し凛々しい雰囲気を持っているのがフェイトちゃんと言えば分るだろうか。
そのアリシアちゃんは、フェイトちゃんが立ち上がったのを見て、うんうん、と満足そうにうなずいていた。
「――――ありがとう。あなたがいたから私は、自分を始めようと思うことができた」
「あはは、気にしないで。自分のことだもん。私が私に力を貸すことは当然だよ」
アリシアちゃんは、フェイトちゃんから生まれたもう一人のフェイトちゃんと言っても過言ではない。だが、フェイトちゃんはアリシアちゃんの言葉に首を横に振った。
「違う。そうでしょう?」
フェイトちゃんが何を理解したのか僕には分からなかった。だけど、二人の間には通じる何かがあったようだ。フェイトちゃんの言葉にアリシアちゃんは、あはは、と悪戯が見つかった子供のように笑っていた。それは、フェイトちゃんの指摘が的を得ていたことを示している。
もっとも、僕には彼女が何を言っているのか全く分からなかったが。
「あはは、わかっちゃった? うまく隠せたと思ったんだけどな」
「わかるよ。こんな形で出会うとは思わなかったけど」
「私もだよ。いや、こんな形じゃないと私たちは出会えなかっただろうね」
彼女
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