A's編
第三十二話 前
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ら答える。そんなものはいらない、と。
「では、現在のようなシグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラ、はやて様と共に歩む世界であってもですか?」
「それは……」
その問いには容易には答えられない。なぜなら、僕自身も楽しいと思っているからだ。今の生活が。確かに今のような、街から街へと旅をして依頼を受けていくような生活は楽しい。地球のような平穏さはない。ただ、それでも刺激的だ。向こうでは到底味わえないような。毎日が修学旅行のような、そんな感覚だ。いつまでも続いても文句のいいようがないのかもしれない。
ただ、ただ、それでも―――
「それでも、僕は帰りたいと思うよ」
「どうして、どうしてですか? この世界が心地よいと思うのであれば、いつまでもいればよろしいではないですか」
「それはできないよ、だって―――」
だって? だって、なんだというのだろうか?
確かに望郷の念はある。だが、それでも理由は曖昧だ。曖昧? なぜ? どうして?
僕は頭の中をひっくり返す。何かが引っかかって気持ち悪いという感覚がある。何が引っかかってる? ああ、理由だ。僕は何かをやらなければならかった。向こうの世界で。何か大切なものを忘れているような気がする。護らなくちゃいけないものがあったような気がする。
――――だったら、あたしの家のクリスマスパーティーに来なさいよっ!
ああ、そうか、すっかり忘れていた。忘れたら、かなり怒られそうだなぁ、と思いながら、それを切り口にして、次々に思い出がよみがえってくる。今まで蓋をされていたものが一気に飛び出してくるように。
それは、たとえば、なのはちゃんのことだったり、アリシアちゃんのことだったり、ユーノくんのことだったり、アルフさんのことだったり、すずかちゃんのことだったり、アリサちゃんのことだったり、クラスメイトのことだったり、そして、何より―――はやてちゃんのことだったり。
「ああ、そうか……そうだった。なんで忘れていたんだろう?」
「主?」
突然、独り言を言い始めた僕に対して怪訝な表情を向けてくるリインフォース。
もしかして、気付いていないのだろうか。いや、もっとも、ここがどこかもわからない以上、気付くも何もないのだろうが。
―――もしかしたら、偶然なのかもしれない。
一瞬、そんな考えが浮かんだが、それはありえない、と一蹴した。確かに共時性というものはあるかもしれないが、ここまで瓜二つということはないだろう。共通性が見いだせるなんてレベルではない。同じ存在なのだから。つまり、これは何らかの形で彼女が仕組んだものだろう。
「ねぇ、そうでしょう? 闇の書」
僕がそうやって指摘すると、リインフォース―――最後に襲っ
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