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リリカルってなんですか?
A's編
第三十二話 前
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カットの茶髪を持つ少女。年齢は僕と同じ程度の少女。彼女の名前は―――八神はやて。先代の勇者だったらしい、らしいというのは本人も覚えておらず、王国の古書に少しだけ記録が残っているだけだからだ。もっとも、彼女は前回の召喚のときに魔王と相打ちに会って、その身を聖剣とともに封印したらしいが。そのため、魔王を倒した後は彼女を棺桶のように閉じ込めた紫水晶を称して―――紫水晶の聖女と呼ばれていた。彼女の態度を見ていると聖女というよりも子狸とでもいうべき、子憎たらしい少女ではあるのだが、僕たちの中で、ヴィータちゃんと同じくムードメーカーでもある。

 最後に僕―――蔵元翔太。今回、呼び出された勇者である。聖剣を抜いた―――抜いてしまったのが原因なのだが、まあ、あそこで抜けなかったら僕はこの場にはいないだろうから、そこで聖剣を抜いてしまったのは正解だったのだろう。

≪主、どうかしたのですか?≫

 その声なき声は僕の頭に直接響いてきた。

 ああ、そうだ。忘れるところだった。僕たちと一緒に旅してくれる仲間。最後の一人―――聖剣の名をとってリインフォースト名乗る聖剣に宿った精霊のことを。彼女―――そう称していいのかわからないが、聞こえる声から察するに女性であることは間違いないだろう―――は、僕がはやてちゃんが閉じ込められた紫水晶から抜いた瞬間から、僕の聖剣の精霊になったらしい。だから、僕を主と呼ぶ。実は、人型を取ることができ、魔法を使うときはサポートしてくれるのだ。彼女の容姿は、銀髪をストレートにし、黒い装束に包まれている。いや、聖剣というよりも魔剣じゃないだろうか? という容姿だが、それでも聖剣らしい。

「いや、なんでもないよ」

 独り言のようにリインフォースに対して返事をしながら、僕も目の前でおいしそうに湯気を立てているスープを口にする。

 その後は、ちょっとした会話をしながらも手と口を動かした。街の中の食事処であるならば、会話も楽しみながら朝食という洒落た行為もできたかもしれないが、ここは外。しかも、野営だ。いつ敵が襲ってくるかもしれない時に悠長にご飯を食べられる時間があるのなら、腹を満たすことが優先される。

 ……旅の最初のころは、シグナムさんとヴィータちゃん以外はそれをわかってなくてつらい目にあったこともあったからなぁ、とやや過去の辛いことも思い出しながら僕もぱくぱくと食事を進める。

 全員が朝食をほとんど食べ終わったころ、後片付けをするシャマルさんを気にしながら口火を開いたのはシグナムさんだった。

「今日の午後にはリガルドの領域に入ることになるのだが、作戦は頭に入っているな?」

 僕たちは、街のギルドから依頼を受けていた。それが、先ほどシグナムさんが話したリガルドの討伐だった。

 僕たちの本来の目的は
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