第四話
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「……ラウ!おいブラウ!」
誰かが私の体を揺する。体中がびりびりする。
「んぅ……、……クライン?」
「目ぇ覚ましたか、ブラウ!」
目の前にはむさ苦しい顔があった。
「……こういう場面ってさ、かわいい女の子が起こしてくれるはずじゃない?」
「オレで悪かったな。まあこれでも飲めや」
からからと笑いクラインは私に小瓶を差し出した。私はそのハイ・ポーションを口に含み飲み込む。相変わらずの不味さを感じつつ隣を見ると、キリトがアスナに看病をしてもらっている。
私たちがキリトたちの方へ行きクラインが遠慮がちに声をかける。
「生き残った軍の連中の回復は済ませたが、コーバッツとあと二人死んだ……」
「……そうか。ボス攻略で犠牲が出たのは、六十七層以来だな……」
「こんなの攻略なんかじゃない……ただの自殺だよ」
私の絞り出したような台詞。頭を振り大きなため息をついてクラインが訊いてきた。
「そりゃあそうと、オメエら何だよさっきのは!?」
私とキリトは顔を見合わせ難しい顔をした。
「……いわなきゃ……ダメ?」
私が上目使いでクラインを見ると(私の方が身長が低いので必然とそうなる)クラインが顔を赤くした。一瞬デレっとしたがブンブンと顔を振り
「ったりめえだ!見たことねえぞあんなの!それにブラウの大剣技!!普通の大剣スキルにあんな連続技なんてねぇだろ!」
と言った。
「……エクストラスキルだよ。まあブラウまで持ってるとは思わなかったがな。俺のは《二刀流》」
「私は《瞬剣》っていうスキルなんだ」
どよめきが部屋のみんなに流れる。
興味があると大きく顔に書いたクラインがせき込むように言った。
「しゅ、出現条件は」
「わかってりゃもう公開してる」
「気づいたらすでにあったんだよねぇ」
まぁそうだろなあとクラインが唸る。
たぶん私とキリトとあと食えないあの人のスキルは習得者一人のみの《ユニークスキル》だと思う。あぁあ、今日から私たちの秘密が世間に流れると思うと憂鬱だなぁ。
「ったく、水臭ぇなオメエら。そんなすげえ裏技黙ってるなんてよう」
「本当はバレたら周りがしつこく聞きにくると思ってもう少し秘密にしたかったんだけどね」
「同じく」
ボヤくクラインに私たちは言う。
「ネットゲーマーは嫉妬深いからな。俺は人間ができてるからともかく、妬み嫉みはそりゃああるだろうなあ。それに……まあ、苦労も修行のうちと思って頑張りたまえ、若者よ」
楽しそうに笑うクラインを見て「勝手なことを・・・・・・」とキリトが呟く。
クラインが生き残った軍の人に上官?に伝言を伝えるように言い帰らせた。そして両手を腰に当ててこちらを再び向く。
「オレたちはこのまま七十
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