第一話
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敵の繰り出すオレンジ色の軌跡を紙一重で見切る私は、《デモニッシュ・サーバント》という骸骨の剣士の懐に飛び込んだ。
「っせぁ!」
掛け声と同時に左手に持つ剣を真横に切り、返す刀で骸骨の首を水平に切り払う。そして敵の頭上に表示されたHPバーが完全に消え去り
「ふぐるるああぁ!!」
という雄叫びを残してポリゴンの欠片となっていく。
加算経験値とドロップアイテムを一瞥し、剣を収めた私は体に残る疲労を吐き出すように一息をついた。
時刻は午後三時を過ぎ、そろそろ帰らないと暗くなる前に街に戻れないだろう。
「………ウチに帰ろっと」
小さく呟き、私は七十四層の主街区に向かって歩き出した。
歩いているとふと親友であり、幼馴染のアイツのことが頭をよぎる。
「キリト…生きてるかな…」
兄弟同然に育ってきたあのバカは簡単には死なないような奴だと知っているから大丈夫だと思うのだが。
またそれとは別に思い出したくないことも思い出してしまう。
そう、このデスゲームの始まりであるあの瞬間の事だ。
◇◆◇◆◇
二年前に桐ヶ谷和人―アバターネーム《キリト》―とヘッドギア型マシン《ナーウギア》による《仮想現実完全ダイブ》型のVRMMOゲームによるたった千人のβテスターに当選した私は自分の幸運に喜び、二ヶ月のテスト期間を存分に楽しんだ。
現実とほぼ変わらない空間が目の前には存在し、思うように全身が動く。まさにゲームの世界に入り込んだという最高の感覚、楽しくないわけがなかった。
学校でも二人でスキルの構成やアイテムについて話し合い、家に帰れば家事以外の自由な時間はひたすらダイブという日々を過ごした。
気が付けばテスト期間は終わり、キャラをリセットするときは大切なものを失ったような気がしたほどだ。
そして二〇ニニ年十一月六日の午後一時に、キリトの部屋で一緒にログインをし、《始まりの街》の広場で私は一先ず色々楽しむため別行動をとることになった。
「じゃあ一時間後にまたここで」
「あぁ、わかってるよ」
私はβプレイ中にキリトと見つけた秘密の穴場の一つに向けて走って行った。目的地は草原の道をそれて、腰ほどにある草や花の生い茂る場所だ。
案の定人の姿は見当たらないので、私は遠慮なく敵を倒すためまた一歩前へと進む。
「ほっと!」
襲いくる動物型のモンスターたちを避け反撃のソードスキルを使って倒す。際限なくあらわれ続ける敵を倒し続け、β時代の感覚を取り戻すころには待ち合わせ時間ギリギリだった。
急いで広場に戻るとそこにはキリトの他にもう一人、いっしょにいたクラインという男がいた。
話を聞くとキリトと別れてすぐにクラインと出会い、話しているうちに仲良くなってパーティーを組むことになったそうだ。キリトはクライ
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