第一話
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を拠点にしたほうがいい。俺たちは道も危険なポイントも全部知ってるから、レベル1の今でも安全に辿り着ける」
「それに私はレベル3だから万が一のフォローもできるし」
私たちの台詞にクラインは身動き一つしなかった。
少ししてクラインが顔を上げる。
「でも……でもよ。前に言ったろ。おりゃ、ほかのゲームでダチだった奴らと一緒に徹夜で並んでソフト買ったんだ。そいつらももうログインして、さっきの広場にいるはずだ。置いて……いけねぇ」
「「…………」」
私たちは息を詰めた。この優しいクラインは友達全員一緒であることが望み。
しかし私たちはそれに頷くことができなかった。彼と頑張って後一人くらいなら私たちで守りながら次の村つれていけるだろうが、クラインは「奴ら」と言っている。つまり友人は一人ではないのだ。
二人以上はさすがの私たちでも危険だ。
もし万が一その仲間を守りきれず、死なせてしまったらと思うとどうしても頷けなかった。ここでは簡単に命を失ってしまうがだからと言って命が軽いわけではないのだから。
そんな私たちの思いを読みとったのだろうクラインは無精ひげの浮く頬に、強張っているが笑みを見せ首を左右に振った。
「いや……、おめぇらにこれ以上世話になるわけにゃいかねぇよな。オレだって、前のゲームじゃギルドの頭張ってたんだしよ。大丈夫、今まで教わったテクで何とかしてみせら」
そう言ったクライン言葉に、安堵してしまった自分の醜さに嫌悪を覚えた。
「それに……これが全部悪趣味なイベントの演出で、すぐログアウトできるっつう可能性だってまだあるしな。だから、おめぇらは気にしねぇで、次の村に行ってくれ」
私たちは黙り込むまま、激しい葛藤に見舞われる。
私とキリトはお互いの顔を見て結論を出した。
「……そっか。なら、ここで別れよう。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ。……じゃあ、またな、クライン」
「ばいばい。無理はしちゃだめだからね」
そう言って振り向こうとした私たちにクラインは短く叫んだ。
「キリト!ブラウ!」
「……」
私たちは視線で問いかけたが、続きの言葉はなかった。
私は少し大きく、キリトがひらりと手を振り次の拠点にする予定の村がある北西に向かった。
五、六歩歩いたところで、もう一度声をかけられた。
「おい、おめぇらよぅ!本物は案外カワイイ顔してやがるな!結構好みだぜオレ!!とくにブラウ!本当におめえが女なら意地でも傍にいたいくらいな!!」
私たちはつい笑い、クラインに向かって叫んだ。
「お前もその野武士ヅラのほうが十倍似合ってるよ!」
「そんな台詞言われあきてるよ!そんなんだから彼女ができないんじゃないのー!!」
後ろから
「ウルセェ!ほっとけ」
と声が聞
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