第一話
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たんだ……」
「強制的に認知させるために……か」
「でも……でもよぉ、キリトなんでだ!?そもそも、何でこんなことを……!?」
頭をかくクラインにキリトは指先で真上を示した。
「もう少し待てよ。どうせ、すぐにそれも答えてくれる」
キリトの言うとおり茅場は声を降り注いだ。
「諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は――SAO及びナーウギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と」
ぴくりとキリトが反応を示す。
私はキリトの反応からふと意識して聞くと、茅場の言葉に今まで無かった事務的ではない、感情のこもったような言葉が聞こえた気がした。
茅場は続ける。
「私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーウギアを、SAOを造った。そして今、すべては達成せしめられた。
……以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の――健闘を祈る」
その言葉を伝えた巨大なローブは上昇し、空に溶けていく。最後に足が沈むように消え波紋が広がり、空に残ったメッセージもまた消滅した。
一拍をおき、一万人のプレイヤーは皆、大音量のボリュームと多重の音声で広場を包み込む。
悲鳴を上げるものや、怒号を出すもの。絶叫に罵声に懇願など無数の叫び声が聞こえる。
キリトが言うとおりの人物なら茅場はこれくらいのことをしてもおかしくはない。
そうこれは現実なのだろう。
ならば、私のすることは決まっている。安全にかつ、迅速にここから脱出することだ。
私は落ちつくために深く息を吸い、吐いて、と二度繰り返す。
隣のキリトを見ると私と同じことを考えてたようだ。私たちは同時に頷くとクラインに声をかける。
「クライン、ブラウ、ちょっと来い」
人の輪を抜け街路の一つに入り再び話し合う。
「……クライン」
真剣な声音のキリトに呼ばれ放心状態だったクラインが耳を傾けた。
「いいか、よく聞け。俺たちはすぐにこの街を出て、次の村に向かう。おまうも一緒に来い」
こちらを向いたクラインに私はキリトに続く。
「茅場の話がすべて本当だとしたら、私たちはひたすら自分を強くしなきゃいけない。MMORPGはプレイヤー達のリソースの奪い合い、つまり限られたお金とアイテムと経験値をより多く獲得した人のみが強くなれる」
「この《始まりの街》周辺のフィールドは、同じことを考える連中に狩りつくされて、すぐに枯渇するだろう。モンスターの再湧出をひたすら探し回るはめになる。今のうちに次の村
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