第一話
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を指さし叫び、私はつい我を忘れてクラインに大声で怒鳴る。
「私は、男だよ!!」
キリトは私を見て何かを諦めたように額に手を当てている。
「何でみんな私を見ると女だ女だと言うのさ!いきなり校舎裏に呼び出して告白して来たり、街を歩けばナンパしてくるし、電車に乗ったらおっさんに痴漢されるとかもう、私は男なのにっ!!」
「だっておめぇ、自分を私って言ってるし、そんなナリを見たらそう思うだろ」
「好き好んでこんな姿をしてるんじゃないよ!!」
「まぁまぁ取りあえず落ち着けって。今は何でリアルの姿になったか、だろ」
私が少し暴走しかけたときにキリトが仲裁に入る。
「あぁ、そう言えば何でだろなぁ」
私も一度深呼吸をしつつ、頭を働かせてみる。
周りをみれば、少し前まではまさにゲームキャラクターのような美男美女が、現実のゲームショウの会場の客を集めて鎧を装備させたというような感じになっている。
まず、なぜリアルの顔になったのだろうか。まぁ質感はポリゴンで、細部はやや違和感が残るものの、驚異的な再現度であることは間違いない。
「そうか!スキャンだ!」
私が頭を悩ませてる間にキリトは、答えを見つけたようだ。
「ナーウギアは、高密度の信号素子で顔全面をすっぽり覆っている。つまり、脳だけじゃなくて、顔の表面の形も精細に把握できるんだ」
キリトの答えに納得しつつも私は疑問を投げかける。
「でもそれじゃあ、身長や体格はどうして変化するの?」
私たちは現実の体と同視点にするため身長を同じにしたが、他の人は上積みしてるのではないだろうか。だがそれはナーウギアだけでは対応できないはずだ。
ここで答えを見つけたのはクラインだった。
「あ……待てよ。おりゃ、ナーウギア本体も昨日買ったばっかだから覚えてるけどよ。初回に装着したときのセットアップステージで、なんだっけ……キャリブレーション?とかで、自分の体をあちこち自分で触らされたじゃねぇか。もしかしてアレか……?」
「あ、……そうか、そういうことか……」
確かキャリブレーションは装着者の体表面感覚を再現するために、《手をどれだけ動かしたら自分の体に触れるか》の基準値を測る作業だった。
つまり自分の体格をナーウギア内にデータ化していたということだ。
これらのデータを使うことにより現実の顔や体をSAO世界に再現するのは可能ということになる。
「……現実」
「現実がどうしたの?」
キリトがぽつりと呟きそれに反応する私はキリトに聞き返す。
「アイツはさっきそう言った。これは現実だと。このポリゴンのアバターと……数値化されたヒットポイントは、両方本物であり、命なんだと。それを強制的に認知させるために茅場は俺たちの現実そのままの顔と体を再現し
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